導入事例
- 取材
- 奈良県大和高田市立高田西中学校
- 学年
- 中学2年生
大和高田市立高田西中学校で英語の授業を受け持つ新宮千佳子先生は、子どもたちが「英語を学ぶ」ではなく「英語で表現する」力を磨くための授業を長年実践されています。ICTの力と英語教育を融合させることで、子どもたちに主体的な学びを促し、彼らの可能性を広げることができると語る新宮先生。今回は、具体的な実践のご様子をはじめ、生徒に対する細やかな配慮やICTに対する考え方などを伺いました。
- 目的
- 子どもたちの思考や表現の幅を広げ、生きる力に
- 効果
- ・協働的な学びで、英語で表現する力が身についてきている
・世界とつながることが新たな発見や学びに
・ICTが、学習が難しい子にとっての足場かけに
導入背景・目的
真の英語力を身につけ、豊かな思考や表現ができる子どもに
コミュニケーションツールとしての英語を体感してもらう
「英語を学ぶ」のではなく「英語で表現する」ことの喜びや大切さを感じてもらうために、生徒の既存の知識を活用し、相手意識を持ってペア同士でアウトプットに結びつける活動を日々授業に取り入れています。
英語で表現することに自信を持つためには、相手に伝わるという経験を何度も繰り返し、成功体験を重ねていくことが大切です。英語に苦手意識を持つ生徒もいるため、誰もが表現活動に前向きになれるよう、動機づけのツールとして ICT を活用しています。私は、もともとコンピュータが好きで、これまで様々な外国の学校と遠隔授業を通じて異文化交流の実践を重ねてきました。生徒たちが、諸外国に対する理解を深めたり、世界の中の日本人として何ができるのか考えたり、学級の仲間の考えを知ったりするなかで、互いに思いを伝えあい、つながることのできる ICT は、欠かせないものだと思っています。
導入成果
ICTのメリットを最大限に活かした授業で、技能と自信を手にした生徒たち
ライティングスキルが向上
私の授業では、生徒が自分の考えを形成し、他者に英語で書いて伝える活動を 中学の入学当初から取り入れています。ICT を活用し、インプットからインテイク、アウトプットまでの一連のプロセスを経て、生徒同士でトピックに対する考えや意見を共有しています。
基本的には、教科書の内容に沿ったタスクを提示し、学習した語義や言語材料を活用して、生徒たちが自由に表現できるようにしています。各自で課題について考え、友だちと意見交換しながら一緒にアウトプット活動を行ったあと、全体で共有しブラッシュアップする活動を繰り返しています。教科書には、各単元で「国際」「環境」「人権」「平和教育」など、他教科と横断的に関連づけられる題材が多く含まれています。
これらを活用し生徒たちの心を耕し、深い学びへとつなげられるよう努めています。また、英文作成の過程では、生徒に自分の表現に自信を持ってもらうため、細かい言い回しや文法の間違いについては、後から個別にフィードバックを行い、学習意欲を削がないよう考慮しています。こうした取り組みを積み重ねることで、プレゼンテーションの活動にも意欲的に取り組むことができています。
ICTのメリットを活かした、主体的な表現活動
中学 2 年生の Unit6「ユニバーサルデザイン」の授業では、生徒が ICT を使ってユニバーサルデザインに関する情報を収集・整理し、すべての人に役立つオリジナルのユニバーサルデザインの製品を考案しました。オクリンクプラスのカードに英文でアイデアを作成し、友だちと意見交換をした後、お互いのアイデアへの感想を記入したカードを送りあいました。
生徒たちがカードを受け取った時の笑顔を見て、私自身も心から嬉しく思いました。ICTを活用することで、一人ひとりの思考力や創造力を高め、生徒に合わせた学びを提供できる点は素晴らしいと思います。単元末では、個別の学びを学級全体の学びへと広げるため、海外の中学校とオンラインでつなぎ、ユニバーサルデザインについて紹介しあい、相互交流を図りました。
オクリンクプラスは、フリー素材の画像でデザインを工夫したり、生徒のカードを個別に評価する仕組みを用意したりすることで、生徒たちの学習意欲をかき立てるような仕掛けを設定できます。また、学びの記録を残すことは、生徒自身が学習過程を振り返り、新たな気づきを得て、それが学びに対する主体性につながっていると考えています。
子どもたちの成長過程を知るICT支援員と二人三脚で
ICT 支援員の島村さんは、この学年の生徒たちを小学生の頃から知っており、彼らの成長を見守ってきた方です。私の授業における考えを形にしていただき、子どもたちのアウトプット活動を支援していただいています。
私自身も小学校で外国語専科としての勤務経験があり、子どもたちの発達段階を知り、小学校から中学校への接続において英語学習へのモチベーションを維持し、系統的に授業を実践することの大切さを学びました。中学校では、学んだ知識を使用場面に応じて組み合わせ、発展的に学習内容を定着させる必要性を感じています。これからも ICT の持つ力と英語教育の可能性を探求し続け、生徒一人ひとりのために学び、努力し続けたいと思っています。
※ページの内容は2024年11月時点の情報です。