導入事例

大阪府高槻市立阿武野中学校 赤對 英人先生
生徒の「自己調整能力」を育む、
ICTとアナログのハイブリッドな教室
取材
大阪府高槻市立阿武野中学校 | 赤對 英人先生
使用製品
ドリルパークオクリンクプラス
学年
全学年

高槻市立阿武野中学校で数学科を担当されている赤對先生は、学校の研究主題である「探究」の考え方を授業で体現しつつ、生徒一人ひとりの「自己調整能力」を育むことを目指し、ICTとアナログを組み合わせた先進的な授業実践に取り組んでこられました。今回は、学習内容に応じて最適な「文房具」を使い分けるその独自の工夫や、具体的な授業での工夫、そしてその成果として生徒に見られる主体性の育ちなどについて、詳しくお伺いしました。

導入背景・目的
『働き方改革』と『探究的な学び』の両立という挑戦

数学科を担当する赤對先生には、二つの大きなテーマがありました。一つは、日々の業務を効率化し、より本質的な指導に時間を注ぐ『働き方改革』。そしてもう一つが、学校の研究主題でもある『探究』の考え方を自身の授業で体現し、生徒の知的好奇心に火をつけることでした。
「従来のように、課題を出して、集めて、丸付けをして…という作業は、時間も労力もかかります。その進捗や、誰がどこでつまずいているのかを瞬時に把握できれば、もっと生徒一人ひとりと向き合う時間が増えるはず。これは『自分のため』であり、何より『生徒のため』になる、と考えました」と赤對先生。
一方で、ただ知識を教え込むだけではない、生徒が自ら問いを立て、答えを探究していく「数学的な活動」をどう実現するか。この二つのテーマを両立させる挑戦が、赤對先生独自のハイブリッドな授業スタイルを生み出すきっかけになりました。



実践例:ある数学の授業に見る「最適な文房具」の選択
赤對先生の授業は、目的別にツールを使い分ける、緻密な設計に基づいています。ある日の数学Bの授業風景はその象徴。
【STEP1】心と頭のウォーミングアップ(健康観察+ドリルパーク)
まず生徒は、他社支援ソフトを使い、今日の心と体のコンディションを回答。赤對先生はそれを瞬時に確認し、調子がよくない生徒にはそっと声をかけます。ICTが生徒の小さな変化をすくい上げ、信頼関係の土台となります。
その後、基礎学力の定着を目的とした「ドリルパーク」に取り組みます。先生はリアルタイムで解答状況を分析し、つまずきの傾向を把握します。



【STEP2】アナログで深める思考(魔方陣×紙のプリント)
この日のメインテーマは「魔方陣」。ここで先生は“あえて”デジタルツールを使いません。配られたのは、紙のプリントでした。
「この部分は、自分の手で試行錯誤しながら書き込むアナログな感覚が、思考を深める上で大切だと考えました。ICTは万能ではなく、あくまで『文房具』の一つです。」この選択こそ、先生の考えの核心です。



もう一つの顔:オクリンクプラスで巻き起こす『3つの革命』
このようなハイブリッドな実践は、他の授業でも見られます。特に、生徒同士の考えを共有し、学びを深める「協働的な学び」の場面では、オクリンクプラスが最高の「文房具」になると赤對先生はおっしゃいます。過去の授業実践では、オクリンクプラスが教室に「3つの革命」をもたらしました。

1. 時間の革命:「準備時間」から「思考時間」へ
紙の配布や回収といった物理的な時間が削減され、生徒がじっくりと考え、対話する本質的な学びに時間を充てられるようになった。
2. 学びの革命:「受け身」から「創造」へ
生徒が自ら問題を作る「作問者」となることで、学習の当事者意識が飛躍的に向上。教科書を超えるような深い問題が瞬時に共有され、互いの学びを活性化させた。
3. 関係性の革命:「発表の壁」を壊す心理的安全性
道徳の授業などで特に効果を発揮。「普段は発言しにくい生徒も、安心して意見を表明できる」と先生は語る。全員の意見がフラットに並ぶことで、人間関係の垣根を越えて純粋な「意見」として向き合える。仲間と同じ考えを見つけて安心したり、良い意見にスタンプで賞賛を送り合ったりする文化が、教室の心理的安全性を高めている。

導入成果
『自己調整能力』という、未来を生き抜く力

赤對先生の実践が育んでいるのは、数学の学力だけではありません。生徒一人ひとりの『自己調整能力』です。
「生徒には常々、自己調整が大切だと言っています。それは我々教師も同じです」。今日の課題は、どの「文房具」を使えば最も効率的に、そして深く学べるのか。ドリルパークで基礎を固めることも、紙に書き込むことも、オクリンクプラスで意見を共有することも、全てが学びです。
また、授業後には、全問正解者よりも、むしろ間違えた生徒に対して個別に声をかけ、つまずきを解消する時間を大切にしています。ドリルパークの取り組み状況も、単なる結果ではなく、「期日までに取り組んだか」というプロセスを評価の材料に加えています。一人ひとりの頑張りを見逃さない、という先生の強い意志の表れとなっています。

今後の展望・期待
一人の実践から、学校全体の文化へ

「他の先生にもぜひ使ってほしいですが、強要はできません」。そう謙虚に語る赤對先生ですが、その実践は、既に見学に来られる先生方を通して、静かに、しかし着実に広がり始めています。 「まずは自分が実践し、その中で先生方が『これなら使えるかも』という部分を、少しずつ取り入れてもらえたら嬉しいです。」 一人の先生の挑戦から始まった、ICTとアナログのベストミックスを探る旅。それは、生徒の「自己調整能力」を育むという確かな羅針盤を手に、大きな推進力となるに違いありません。

※ページの内容は2025年8月時点の情報です。

使用製品

ドリルパーク個別学習ドリル

個々に合ったレベル・ペースで、知識の確かな定着や
主体的に個人で学ぶ姿勢を支援します。

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オクリンクプラス

個人思考と共同作業の自由な行き来により
子ども同士が対話し、主体的に学んでいく授業運営を支援。

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