導入事例

愛知県新城市立鳳来中学校 福澤 謙先生
ICTを活用し「閉じない学び」を
取り入れた自由進度学習で、
「個別最適な学び」と
「協働的な学び」の両立を実現
取材
愛知県新城市立鳳来中学校
使用製品
オクリンクプラス
学年
全学年

新城市立鳳来中学校の福澤 謙先生は、担当する理科の授業で、自由進度学習を積極的に実践されています。従来の一斉授業のよさも取り入れつつ、子ども一人ひとりが主体的に学びにかかわり、思考を深めていく授業を大切にされているという福澤先生に、今回は、自由進度学習におけるICT活用のヒントを伺いました。

導入背景・目的
「深い学び」の定義は教師それぞれ。深さは生徒それぞれ。
教員リードではなく、ICTや級友の力を借りながら、生徒が主体的に学ぶ授業をつくりあげていきたい


福澤先生
「個別最適な学び」と「協働的な学び」が一体的に充実した授業とはどういうことか、どう実現させるのかということを調べていくと、名だたる専門家の方々は口を揃えて「複線型授業」の重要性を説いています。まずは、できるだけその形に近い授業を展開するためにはどうしたらいいかと考え、生徒がそれぞれのペース・やり方で学習に向き合える自由進度型の授業に挑戦してみました。今までは、生徒の思考を最大限に尊重し、ポイントとなるところで教員が問い返したり、意図的に指名をしたりすることでぐっと思考が深まる授業を目指していました。もちろん、そのような授業観で授業を研究することも必要ですし、私自身もさらに研鑽を重ねたいと思っています。一方で、目の前のこの子たちは、いつか授業という学習形態以外の方法で、自ら学ばなければならない日がやってきます。私たち大人の日常と同じように、わからないことがあれば誰かに質問するなり、参考資料を読むなりして、解決していく力も必要です。義務教育のうちに、そういった経験を、教科学習を通して積み重ねていってほしいという思いで、子どもたちに日々向き合っています。

導入成果
オクリンクプラスを用い「閉じない学び」を実践。
「個別最適な学び」と「協働的な学び」の両立を意識して実践し、外部テストの成績向上にも寄与した

学習に対する主体性の高まりが、外部テストの結果に直結

福澤先生
今までの授業スタイルと異なるため、テストができるかどうかを心配していましたが、杞憂に終わりました。理科の実力テストは例年以上の結果でしたし、先日行われたベネッセさんの評価テストも全国平均を大きく上回っていました。活動の積み重ねがはっきりと結果に結びついたことで、子どもたちもさらに学びへの納得度を高めてくれたと感じています。これまでは私の指導が授業の中心であり、教員側が発表してほしい考えや意見にアンテナを張り、問い返すタイミングを伺っていたため、生徒一人ひとりの表情を見る余裕まではありませんでした。初めて自由進度の授業を行った時に彼らのいきいきとした表情を見て、「今求められている授業はこれかもしれない」と感じさせられました。また、今までは一部の生徒はとても前向きだった一方で、全く興味がない生徒も複数いました。そういった、学びへのモチベーションが低い生徒の関心を引き寄せるための仕掛けづくりに、かなりの時間を要していたのも事実です。そして、それを日々の授業で実践し続けることは、現実的にかなり難しいです。自由進度学習は生徒が自ら学習を進めていくので、その姿をじっくりと観察できています。クラス全体だけでなく手が止まっている生徒のフォローにも時間を掛けられるようになりました。授業中に全員が理科のことを考えていて、集中していることがよくわかり、嬉しい限りです。


「キーワード集計」で、孤立しがちな自由進度学習に協働的な学びの要素が加わった

福澤先生
自由進度学習における課題の一つに、「級友が今何をどう進めているのかわかりづらい」ということがありました。これを解決してくれたのが、オクリンクプラスの「キーワード集計」の機能です。例えば、子どもたちの前時の振り返りが書かれたカードを集計にかけると、一人ひとりがどのように課題を進めたのか、次はどの課題に取り組むのか、わかったことやわからなかったことは何かが瞬時に可視化されます。生徒は、この情報から互いの状況を知ることができるので、「問3を解き終わったAさんに考え方を教えてもらおう」とか「自分と同じ課題に取り組む予定の人がいるから一緒に考えたいな」というふうに、自然と生徒同士の関わりが生まれるようになりました。




「閉じない学び」で学習の個性化を実現


福澤先生
私が授業で大切にしていることの一つは、「問いに対する答えを出したら終わり」ではなくて、その思考の過程で得た知識をどう自分の糧にしていくのかという部分です。そういった背景から、最終的には自分事として受け止められるような授業設計にすることをできる限り意識しています。また、与えられた課題を完了した後は、入試問題に取り組んでも、次の時間の課題に取り組んでも、自分が設定したテーマで探究してもOKとしています。例えば、「地震が発生したら」というテーマで実施した授業では、地震が発生した際のチェックリストのなかで自分に足りなかった物事を自覚することを課題に設定しました。課題を終えた生徒のなかには、チェックリストの項目に基づき、「鳳来中には何人の人が避難に来て、どこで寝泊まりするのだろう」「どれくらいの頻度でどのような支援物資が届くのだろう」と気になったことを調べる子がいた一方で、黙々と入試問題に着手する子もいました。こうした「学習の個性化」が成り立つように、私の授業では、黒板と「提出BOX」を、誰でも情報を載せられる・見られる状態に開放しています。「提出BOX」に提出された課題には、スタンプとコメントで次にどう学び直せばいいのかのヒントを与えるようにしています。その結果、級友が受けたフィードバックを参考に新たな視点を得て、自分がやりたい・やるべき課題を見つけていくという循環がクラス全体ででき始めているのかなと思います。




今後の展望・期待
ICTの活用によって手に入れた時間を、生徒にとってより充実した時間の実現のために還元していきたい

福澤先生
オクリンクプラスが導入されて以来、ICTでやりたかったことの大半を実現できた実感があります。欲を言うなら、「キーワード集計」の機能が「提出BOX」にも対応すること、チャットなど、子どもたちが学び合うための機能が追加されることを期待しています。また、子どもたちが毎度仲のいい友達同士でグループを作ってしまったり、教える側、教えられる側の役割がいつも固定されてしまったりするという現状の課題に対して、学び合いの幅がもっと広がるように、教員としての支援の仕方を研究する必要があると思っています。同様に、グループを作らない子については、選択的な場合と、グループに飛び込んでいくのが苦手な場合とがあるため、慎重に見極めたうえでのフォローも必要です。いずれも、教員が介在しすぎると生徒の主体性が薄れてしまうので難しい部分もありますが、放任では絶対にいけません。ICT活用によって授業づくりや生徒と向き合う時間が増えた分、生徒一人ひとりを見取り、学級の全員が充実して学ぶことができるような授業を実現していきたいと考えています。


※ページの内容は2024年12月時点の情報です。

使用製品

オクリンクプラス

個人思考と共同作業の自由な行き来により
子ども同士が対話し、主体的に学んでいく授業運営を支援。

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