導入事例
協働的な学びを
行き来することで実現する
学びの定着と
自己調整力の向上
- 取材
- 東京都文京区立第九中学校 | 窪宏孝校長先生、森川先生、石川先生、鈴木先生、ICT支援員の神山さん
- 使用製品
- ドリルパーク
- 学年
- 全学年
東京都文京区第九中学校では、「ドリルパーク」を用いて全学年・特別支援学級で取り組んでいる朝学習や、各教科での目的別ICT活用など、校内全体でICT活動がさかんに行われています。今回は、実際の取り組みやその背景について、窪宏孝校長先生、ICT推進を担当されている森川先生(特別支援学級)、石川先生(英語)、鈴木先生(国語)とICT支援員の神山さんにお話を伺いました。
(写真左より、鈴木先生、森川先生、久留主副校長先生、石川先生 )
導入成果
「ドリルパーク」の取り組みの習慣化で、生徒の基礎学力の定着と自己調整力の向上を実現
森川先生
窪校長先生
本校では、あらゆる場面で学校経営方針について、教員をはじめ、ICT支援員や保護者にもしっかりと共有するようにしています。学校全体でICTタブレットを活用した朝学習も取り組みの一つです。最大の目的は基礎の積み重ねですが、同時に、「授業の0時間目」という建て付けで1時間目以降の授業時間を効率化し、探究の時間など本質的な学びに時間を充てることもねらいとしています。解くスピードや理解度に差があってもすべての生徒が手持ち無沙汰にならないように、基本的には教科共通・学校全体で取り組んでいます。
森川先生
具体的には、指定の教科で課題配信をし、各自で進めていくという方針ですが、例えば週ごとに教科を指定したり、宿題の続きを解かせたりと、それぞれの学年・学級によって状況は様々です。毎朝「ドリルパーク」に取り組むことが習慣化したことで、生徒一人ひとりがこなす問題量が増え、少しずつ基礎学力がついてきました。
石川先生
私が受け持つ英語の授業では、文法の復習の場面で「ドリルパーク」を活用しています。教科書に対応しているので、ユニットごとにターゲット文法を復習できるのが本当に便利。教員としては、復習させたい文法を、そこに表示されているもののなかからパパッと選んで配信するだけでいいので、大変助かっています。1回の取り組みは10分間で設定し、間違えた問題や間に合わなかった問題は、端末を持ち帰り宿題として自宅で取り組んでもらうこともあります。 問題数が多すぎず、生徒にとって負担感が少なくて取り組みやすいようで、全部が丸になるまで解き直しを繰り返す生徒がほとんどです。「ドリルパーク」にちゃんと取り組む生徒ほど、その分成績に反映されている印象があります。もちろん複合的な理由だとは思うのですが、やはり量をこなすことは、成績を向上させる大事な要素の一つなのだと実感しています。

石川先生
森川先生
本校の特別支援学級には19名の生徒が在籍しており、抱える課題や学びの習熟度について、生徒間の差が大きいという実態があります。そのなかで、できるだけ個別最適な学びを実践するために、数・国の授業を中心に「ドリルパーク」を積極的に活用しています。授業の基本の流れとしては、導入の時間は全員が解ける難易度の問題を中心としたプリント、その後に、「ドリルパーク」を用いた進度別学習に取り組んでもらっています。特別支援学級では、毎日毎時間授業に参加できることが前提ではないので、特に一人ひとりの進度に合わせた学びが大切です。「ドリルパーク」は丸つけが不要なので、生徒が解いている間に、私が巡回しながら個別にフォローすることが多いです。
ゲーム感覚でできる気軽さから、「ドリルパーク」を授業に取り入れてから、生徒たちは積極的に学習に取り組むようになりました。自学を進めるなかで、自分の頑張りが可視化される仕組みが、学ぶモチベーションに直結しているのだと日々感じています。生徒のなかには、解答のプリントと自分が書いた答えの照らし合わせが難しい子もいるので、問題を解くごとに解答を確認できるのも活用する理由の1つです。もちろん全員とは言いませんが、支援学級では、「ドリルパーク」があることによって伸びている生徒が増えたのは明らかだと思います。
鈴木先生
国語で鍵となるのは、やはり漢字ですね。新出漢字はもちろんですが、案外定着できていないのが小学校も含めた既習範囲。都立高校の入試では、そういった基礎的な漢字を中心に出題されるのでちゃんと対策しなくてはと思いつつ、昨年まで使用していた紙のドリルは単元別の新出漢字をひたすら学習するという構成になっていて、何かいい方法はないかと考えていました。
そこで、今年からは学ぶ目的別に教材と学習方法を分けています。復習に関しては、ある1冊の教材を、3年間を通して何度も繰り返し使ってもらい、その内容に沿って週1回紙のテストを実施しています。一方で、新出漢字については、「ドリルパーク」で直近のテストまでの範囲の内容で課題配信を行い、テスト当日までに自分で学習を進めていくという自己調整力の養成も意識したやり方を採用しています。「ドリルパーク」に習慣的に取り組むようになってから、目標から逆算して自分でやるべきもの・やるべきことに計画的に取り組む力が身についてきている生徒が増えてきており、相対的に成績も向上してきたと感じています。

鈴木先生
教科授業にとどまらず、あらゆる場面でICTを活用することで、協働的な学び合いや作業の効率化に貢献

窪校長先生
私たちは、「第九中学校でしかできない学び」を生徒たちに提供することにこだわっています。その代表的な活動として、今年は総合の時間において「12町会課題解決アントレプナーシップ」というプロジェクトを推進しています。本プロジェクトは、文京区内本駒込地区を中心とした12町会と連携し、町会の方々と対話しながら企画や提案を行う教育活動です。生徒には、「町会を知る」ための大原則、「調べてみる」「見る・訪れる」「参加する」を意識し、主体的に行動しています。
森川先生
この夏休みには、頑張って早起きしてラジオ体操に参加することで、地域についてこれまでなかった視点を得ようとしている生徒もいます。こうした地域に根ざした活動は、窪校長が大切にしている「答えのない学び」を体現していると感じています。「12町会課題解決アントレプナーシップ」では、町会ごとに各学年と特別支援学級の生徒がバランスよく所属し、協働的に探究活動を行っているのですが、ここでもやっぱりICTが役に立っています。
例えば、学校の外に足を運ぶ場合は、紙を持ち歩くよりも「オクリンクプラス」で情報を管理した方が楽だし、みんなで共有しやすい。私たちからも、すぐに課題配信をすることができるので、とても便利です。夏休みに関しても、課題は「オクリンクプラス」の「提出BOX」から提出するだけなので、手間がほとんどかかりません。さらに、夏休み明けには「ポスターセッション」を行う予定ですが、「オクリンクプラス」上でまとめたものはそのままPDFで出力できるので、生徒たちは効率的に発表の準備を進められるのではと期待しています。こうした探究活動でも、ICTを活用するメリットは大きいと思います。
石川先生
私も「オクリンクプラス」は授業内外でよく活用しています。授業では、例えば、ユニットの最後の確認クイズを用意して、得意な子と苦手な子がバランスよく含まれた3,4人のグループで協働的に解かせています。
夏休みについては、紙+タブレットで対応する課題を出しています。「ドリルパーク」は、ICT支援員の神山さんにおすすめしていただいた教科ごとの単元やセッションが中心です。生徒たちには、夏休みが始まる1週間前くらいに宿題の内容を伝えていたので、早く終わらせてしまいたい生徒はその日から早速取り組んでいるようでした。授業外では、文化学習発表会の実行委員がスローガンを決める時、「オクリンクプラス」の「集計機能」を使う予定です。
これまでは紙ベースだったので、集計にものすごく時間がかかっていたのですが、一瞬でキーワードが集約されるので生徒・教員の負担も減ると思います。授業だけでなく、こういった委員会活動や行事の準備でも、うまく活用していきたいなと思っているところです。
鈴木先生
国語の夏休みの課題は、「ドリルパーク」で、前学年で習った漢字の復習、当学年1学期で習った漢字の復習、そして入試を意識した挑戦問題の3段階で用意しました。生徒自身で学習のマネジメントができているのか、私の方でも進捗は見守って適宜声掛けはしようと思いますが、新学期初日を期待して待とうと思います。
学校全体のハブとなり、先生同士の情報や実践をつなぐ、ICT支援員の存在

窪校長先生
本校では、定期的に教員との1on1を実施し、対話しながら自分の想いを伝えたり、先生たちの困りごとを相談したり、学校としての方針について考えをすり合わせたりする機会を多く設けるようにしています。そして、教員と同じように、ICT支援員の神山さんとも積極的にコミュニケーションをとり、ICTの効果的な活用について意見交換をしています。神山さんは、定期的に共有される学校経営方針に沿いながら、教員一人ひとりが描く授業づくりを実現するためにいつも全力でサポートしてくださっています。
石川先生
実際に、「自由進度学習」も、校長が強調していたテーマの1つでしたが、今こうして「ドリルパーク」を朝学習に全学年で取り入れたり、授業の要所要所で活用したりできているのは、神山さんの助言のおかげだと思います。
鈴木先生
校内研修会や、教科間の教員同士での情報共有は行われていますが、やはり私にとってICT支援員の神山さんが一番の相談相手です。やりたいことを伝えると、他の先生が取り組まれている事例を教えてくださったり、参考資料を見せてくださったり。
私が踏み出せなかったICTの世界に、神山さんがどんどん引っ張ってくださったおかげで、今どうにか活用できているという状況です。赴任直後でほかの先生と関係性が築けていなかったときも、間をとりもってつないでいただけたのはとても助かりました。今でも、日々新しい情報を共有してくださるので、頼りにしています。
森川先生
私自身、学校のICT推進担当として、生徒に何ができるか、先生方の活用をどう後押ししていくのか、ということは常に考えてきました。研修の開催や個別のアドバイスなど、できることはやってきましたが、神山さんから新しい視点でアドバイスをいただいたり、具体的な事例とともに活用提案をしていただいたりして、私自身もほかの先生方の意識も一層高まってきたと感じています。
今後の展望・期待
基礎力の盤石化をめざしつつ、授業の内容に応じたツールの使い分けで、さらなる学習効果を高めていきたい
窪校長先生が書かれた理想的な授業の流れ
石川先生
一番は、子どもたちの基礎力を盤石にすることですね。「ドリルパーク」は楽しく取り組める分、子どもたちの学習に向き合う集中力がすごいので、もっと積極的に使っていければと思います。
教科力という意味では、やはり文法ですね。会話中心の教科書だけに頼っていると、どうしても文法を理解しきるには十分ではありません。重要文法を反復して定着させるために「ドリルパーク」は活用をし続けるつもりです。
同時に、学年が上がるにつれ、英語で自分の考えを表現する機会が増えていくので、「オクリンクプラス」を積極的に使い、友達と他者参照しながら学び合う環境をつくれるといいなと思います。
森川先生
「ドリルパーク」に新しい問題が常に追加されるよう、日々アップデートしていただけると嬉しいなと思います。また、「オクリンクプラス」は機能が充実した分、子どもたちが操作に迷うことが増えた側面もあるので、今検討されているという「機能制限」が実装されたら、授業内でもっと活用シーンを増やしていきたいです。
鈴木先生
私は、「ミライシード」を「学校で学び合う喜びを感じられるツール」にしたいと考えています。国語は教科の特性上、「漢字」とか「言葉の意味」といった基礎事項のインプットに授業内容が偏ってしまうことが多いので、ICTの力を借りながら、一緒に学ぶことのメリットを生かした授業とのバランスをとれるといいなと思います。
窪校長先生
協働的な学びと基礎定着を行き来することで学びは定着していくものです。基礎力があるから仲間との話し合いも有意義なものになるし、仲間と一緒に学ぶから基礎力が高まる、という循環を授業のなかで確立し「九中でしかできない学び」を積み上げていきたいです。

※ページの内容は2025年7月時点の情報です。
使用製品
ドリルパーク個別学習ドリル
個々に合ったレベル・ペースで、知識の確かな定着や
主体的に個人で学ぶ姿勢を支援します。




お問い合わせ