導入事例

東京都渋谷区立広尾中学校 川上弘文校長先生、齊藤泰弘先生
アナログでの対話も大切にしながら
これからの子どもたちに
必要なICT活用の力を育成
取材
東京都渋谷区立広尾中学校
学年
全学年

東京都渋谷区立広尾中学校では、「未来の学校」の実現に向け、ICT教育を推進しています。
川上 弘文校長先生とICT担当齊藤泰弘主幹教諭に広尾中学校でのICT教育のお取組についてお伺いしました。

導入背景・目的
「もっと便利に使う」「もっと学ぶ」ためにICTをツールとしてどう使いこなしていくのかを考え、身に付けていけるよう、子どもたちを導く

ーICT教育の推進について、大切にしているポイントを教えてください。
川上校長先生

小学校から一人1台タブレットを使って学ぶようになり、子どもたちは、Officeはできる状態で入学してくるようになりました。そのためICT教育の目標は、日常のOfficeなどの必須ツールを学ぶということから、「もっと学ぶ」ためにICTをツールとしてどう使いこなしていくのかを考え、身に付けていけるよう、子どもたちを導くことに変化しました。
単純にICTを操作できるというだけでなく、オンラインでの共同編集での話し合い方や、ICTを使って自分の思考を可視化するやり方などを、授業を通して身に付けていってほしいと思っています。



齊藤先生
「考える・やってみる・振り返る」という流れの実践がICTと相性がよいと感じており、ICTを使った「考える・やってみる・振り返る」で社会課題まで扱った授業もしてみたいと考えています。また、ICTを活用し、生徒同士の「対話」の中で学び合う授業も実践できるのではと思っています。


導入成果
デジタルを通して「自分の意見を磨き、他者の意見を聞ける」ようになるためアナログの「対話」も授業に織り交ぜることが大切

--ICT教育の推進で、具体的に行われていることを教えてください。
齊藤先生
例えば私の担当は体育なのですが、バレーボールの授業でICTを使って、完全に生徒主体で進行した授業を実践しました。バレーボールの技法を調べ、実際にやってみてそれを動画に撮る、生徒同士で気付きを話し合い、改善する。教えるのではなく、自分たちで学び、気付く授業がICTで実現しました。

川上校長先生
ほぼすべての教科でICTを活用しています。今後さらに頻度を上げ、活用シーンを広げることもしていきたいですが、一方で、ICTを「もっと学ぶ」ためのツールとして使いこなせるようにするために、「対話」といったアナログなことも大事にしていきたいと思っています。
ICTは他者との会話を助けるツールであってほしいと考えます。ICTを通して「自分の意見を磨き、他者の意見を聞ける」ようになる、そのためにアナログの「対話」も授業には織り交ぜることが大切だと感じています。

--「未来の学校」の実現に向けて、通常の授業以外の実践を教えてください。

川上校長先生
「未来の学校」実現への重点実行施策として「地域と子どもの未来を共創する学校推進」があります。それにつながる探究活動として、ごみ拾いSNS「ピリカ」を活用したごみ拾いイベント「ごみひろおープロジェクト」を実践しました。
片手にごみ袋、片手にタブレットやスマートフォンを持ってごみ拾いを行い、拾った記録をSNSに投稿するという活動です。齊藤先生と「ピリカ」のご担当者がタッグを組んで実現しました。
SNSとのつき合い方を学びつつ、自分の町「渋谷」の問題に客観的に気付くきっかけに大きく寄与した活動だったと思います。

グループで話し合いながら理解を深めていく

グループで話し合いながら、学習のまとめをしていくレポートです。


今後の展望・期待
それぞれの学校が積み上げてきたことを尊重しながら、アナログとデジタルのよいミックスで、「未来の学校」の実現を目指す

ー「未来の学校」の実現へ今後実践していきたいことを教えてください。
齊藤先生

今後、松濤中学校と校舎が一緒になる「青山キャンパス」では「ラーニング・コモンズ」もでき、合同で学習を進めることもできるようになるので、ICTをそこにどう生かすかも含めて何ができるか模索しています。
普段知りえない人と知り合え、人とつながることができるところが、ICTのいいところ。まず対面でつながりを作りつつ、ICTも活用して、学校・教室・学年を越えて場を作っていくことが未来の学校として目指したいところだと思っています。

川上校長先生
「青山キャンパス」として広尾中学校を含め3校の校舎が一つになりますが、最初は「初めまして」の状態。まずはアナログも大事にしながら、アナログとデジタルのよいミックスで準備をしていきたいと思っています。
他校の取組を身近に感じられ、いいと思ったことはすぐにマネできることが、校舎が一つにまとまるメリット。他校の取組を取り入れていくために、合同授業をオンラインでやるなど、今のうちから、検討しても面白いのではと思っています。
また、「青山キャンパス」には学校を越えた学習室である「ラーニング・コモンズ」ができます。学校の壁も越えて一緒に授業を作る、人が大勢でできる授業をやってみるなど、いろいろなことが実現できるかもしれないと期待しています。
それぞれの学校が積み上げてきたことを尊重しながら、一つになるメリットをたくさん見つけていきたいと思っています。


※ページの内容は2024年10月時点の情報です。

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