導入事例

京都府宇治市立宇治小学校 伴 昌也先生
根拠を示しながら議論を進め、
全員が納得できる解への到達を
ゴールとした授業づくり
取材
京都府宇治市立宇治小学校 | 伴 昌也先生
使用製品
オクリンクプラス
学年
小学4年生

宇治市立宇治小学校で4年生を担当されている伴昌也先生は、子どもたちが、問いの解決に向けて他者と協働しながら、目的に応じた納得解を生み出していく、そんな授業づくりを日頃から実践されています。ICTを活用することで、時間的・空間的制約を超えて学びの可能性が広がると語る伴先生に、授業づくりにおいて具体的に意識されていることや、効果を感じられていることについてお話しいただきました。

導入成果
2種類のカードを使うことで、「納得解」を生み出すためのプロセスを視覚的にイメージできる

伴先生
 子どもたちが、問いの解決に向けて他者と協働しながら、納得解を生み出していく授業をどのようにデザインしていくか、ということを日頃の授業づくりでは意識しています。 例えば、国語で物語を読む場合、一人ひとりの子どもたちが自力で長い文章を読み、複数の叙述を根拠にして自分の考えをつくっていく。そしてその考えを他者と議論することでより確かなものにしていく。そんな姿をめざして授業をデザインしています。

でもそういった納得解を生み出すことは4年生の子どもたちにとって簡単なことではないのです。算数の計算問題のように、1つの答えがあってそれを見つける、という学習であれば、「なぜその答えが正解なのか」または「なぜほかの答えは間違いなのか」ということをみんなで出し合いながら、1つの答えに絞り込んでいきます。どのように議論すればよいかという学びのプロセスや、到達すべき姿が子どもたち自身もイメージしやすいのです。でも納得解の場合は、「どうなれば解として成立するのか」「そのためにどのように議論すればよいか」ということがイメージしにくい。 そこで「オクリンクプラス」のカードを活用することにしました。具体的には、根拠を整理していく青色の「根拠整理カード」と、自分の考えをまとめる赤色の「自分の考えカード」という2種類のカードを作成しました。

既習の教材で示した2種類のカード


また、より具体的に使い方をイメージできるよう、子どもたちが2年生の時に学習している「お手紙」という教材で、それらのカードを使ってモデルを示したのです。そうすることで、「納得解を生み出すときは、自分の主張だけでなく、根拠が必要」という到達すべき姿と、「根拠を増やしていくことでよりよい解となっていく」という学びのプロセスを、視覚的にイメージできればと考えました。さらに、「根拠整理カード」も工夫しました。

「根拠整理カード」のフォーマット


国語では、4年生までに「共通や相違、事柄の順序」や、「考えと理由や事例、全体と中心」といった情報と情報の関係を理解するということが育成すべき資質・能力として挙げられています。そういった資質・能力を活用して根拠を整理していけるように、いくつかフォーマットを用意しました。
 子どもたちは、本文から根拠になりそうな叙述をスクリーンショットを使ってどんどん取り上げ、「順序づける」「表で比較する」「まとまりに分ける」といったフォーマットに合わせて整理をしていきました。中には「こんなカードをつくってもいい?」と、新たなフォーマットをつくり出す子どもたちもいて、今後も様々な場面でこのカードは使えるなと思いました。
子どもたちは「根拠整理カードが増えてきた!」と、カードをどんどんつなげていきました。「カードが増える」ことで、自分の学びが進んでいることを視覚的に自覚することができ、学びの意欲につながったようです。また、根拠を増やそうと思えば、それだけ本文を読まなければならず、複数の場面を何度も行ったり来たりしながら、自力で長い文章を読むことにもつながりました。さらに、教師にとっても、子どもの学びの状況がカードの枚数で把握しやすくなるので、不足している児童や、根拠と考えがつながっていない児童には個別に声かけをするといった手立てを打つことができました。
 最終的にはそれぞれの考えを説明し、学級全体で議論する場面を設けたのですが、「こう書いてあるっていうことは、その考えは違うんじゃない?」というように、叙述に基づいて議論する姿が見られ、一定の効果があったと感じました。

実際に子どもたちが作成したカード


根拠を増やすために本文を何度も繰り返し読む子どもたち            個別に送った先生からのアドバイスカードを参照する子どもたち

・ICTの力で、学校の授業と家庭学習が時間的・空間的制約を超えてつながる
・「子どもの学びにとって最適な授業か」と問い続け、授業観を常にアップデートしていく

伴先生
 ICTを活用することの効果としては、時間的・空間的制約を超えて学びの可能性が広がるということがとても大きいと感じています。  私たちが子どもの頃とは学びの環境が大きく変化しているわけですから、私たち教師が児童観や授業観を常にアップデートしていかなければいけないと思っています。今の授業が「本当に子どもの学びにとって最適な授業なのか」ということを、絶えず問い続けていかなければいけないと考えています。
 例えば、一般的に1時間の授業の展開は、「めあて」をつかみ、まずは「自力」で取り組み、その後、みんなで「交流、追究」し、学んだことを「まとめ」ていく。そして学習内容が身についているかどうかを「確かめ」て、自身の学びを「振り返る」、という展開が多いかと思いますが、ICTを活用することで、1時間の授業の展開を組み替えてもいいのではないかと考えました。
 具体的には、「自力」で取り組むという場面を家庭学習として行い、その日のうちに学習したカードを「提出BOX」に提出するようにします。学校の授業では、始まると同時に提出されたカードを公開します。他者の考えを参照し、全体の傾向をつかんだうえで、みんなで「交流、追究」するところから授業が始まるわけです。そして学習したことを子どもたちの言葉を使って「まとめ」て、一人ひとりが自身の学びを「確かめ」、「振り返る」といったような展開で授業をしてみました。

 「自力」で取り組む学習を家庭学習で行うことで、学校の授業ではみんなで「交流、追究」する時間をたくさん取ることができます。「すべての子どもたちが、先生のいない家庭学習で取り組むことができるか?」という不安はありましたが、オクリンクプラスを活用することで、カードを視覚的に工夫するだけでなく、音声での説明や解説動画を作成するといった支援の方法もあり、多くの子どもたちが無理なく取り組んでくれました。なかには、「動画を何回も見たらわかったから勉強しやすかった!」という子どももいて、自分に合った方法で、自分のペースで学習に取り組むことができるというメリットも感じました。

 ただ、それ以上に私が効果的だと感じたことは、一人ひとりの学習状況を教師が事前に把握できるということです。
前日のうちに、それぞれの子どもたちの考えが「提出BOX」に集まりますから、それを見て、翌日のみんなで交流、追究する学習をどうファシリテートしていくか、という戦略をじっくりと練ることができるのです。これまでも事前にそういったことを考えて授業に臨んでいましたが、前日の段階ではあくまで教師の予想でしかないのです。「子どもたちはきっとこう考えるだろう」と。そして授業をして初めて、子どもたち一人ひとりの考えや、学級全体の傾向を把握することができます。
そこでは当然「予想通り」ということもあれば、「予想と違う」ということもあるわけです。授業者としては、できるだけ「予想と違う」ということがないように、様々なパターンを想定し準備をしますが、それはとても大変な作業です。でもオクリンクプラスを使うことで、実際の子どもたち一人ひとりの学習状況が前日のうちに把握できますから、翌日の授業までじっくり戦略を練ることができます。授業中にはとっさに準備できないことでも、前日であれば「こんな教材や教具を準備しておこう」ということも可能になります。これはとても大きなメリットだと感じています。

「事前に家庭学習で授業での学習内容を予習しておく」ということは紙ベースでもできます。でもそれだと、どれだけ早くてもプリントを回収できるのは授業当日の朝です。前日のうちに一人ひとりの学習状況が把握できるというのは、ICTを使えばこそのメリットだと実感しています。

提出された自力学習のカード


でも、この展開で授業をしていて感じたのが、「教師が課題を与えてしまっている」ということでした。「家庭学習で自力で取り組む課題への動機づけ」や、「自分たちで問いや課題をつくっていくような学び」が実現できていないと感じました。
 そこで、「振り返り」のあとに、「次のめあてを考える」という時間を設定しました。今回の学びを振り返ったあとに、その振り返りを共有します。そこから今回の学びと単元のゴールを結びつけて考えたときに、次にどんな課題に取り組むことが必要かをみんなで考えていきます。そして授業の終わりに次の時間のめあてを決定し、そのめあてに沿って、家庭で自力の学習に取り組むというサイクルで授業を進めていきました。
 正直、「次の学習内容を決定する」ということを子どもたちに委ねることに、不安もありました。例えば算数であれば、「この順序で学習するのがわかりやすい」というような単元もあるわけです。それを子どもたちに任せてしまって、違うルートを選んでしまったらどうしよう…などと思うこともありました。でもやってみるとその不安は消えました。子どもたちは、単元のゴールやそこに向かうプロセスの見通しを持つことができていて、かつ今日の学びがきちんと自分のものになっていれば、その差を埋めるために「何が必要か?」とか「どの順番で取り組めばいいのか?」ということを自分たちで判断していけるのだと感じました。
もちろんいきなり学級全員が適切な判断ができるかというと、そうではありませんが、一人ひとりが考えたことを出し合い、学級全体で話し合うことで、よりよい判断ができてくるのだなと。
 また学級で話し合う中で、「それよりもこっちのほうが簡単だから、まずはこっちから取り組むほうがいいんじゃない?」「なんでそっちのほうが簡単だと思うの?」「だってこっちはこうで…」「じゃあ、こう考えればいいんだ!」といったように、次の学習への見通しがもてるような発言も出てきます。この時間があることで、その後の自力で取り組む家庭学習にもうまくつながっていきました。


 

    今ではこの1時間の授業の終末に行う、「次の時間のめあてをつくる」という時間が、私の1番楽しみな時間です。子どもたちが次はどんなふうに考えて、ゴールへのプロセスをつくっていくんだろう?とワクワクしながら子どもたちの話し合う様子を見ています。

 このように、はじめから今の授業の展開になったのではなく、日々の授業で子どもたちの学びを捉え、向き合い、試行錯誤しながら、今はこの展開に至ったという感じです。「今は」と言ったのは、きっとこの先も、もっと効果的だと思うことが出てくるかもしれないと思っているからです。そんなふうに、子どもたちの豊かな学びのために、授業観を常にアップデートしていきたいと思っています。


 また、「授業観をアップデートしていく」ということは、教師自身はもちろんですが、保護者の方々とも共有していくべきことかなと思っています。今回の「ごんぎつね」の実践でも、こちらがどういった意図でこういった授業をしているのかとか、子どもたちが考えたテーマなどを学級通信等で保護者の方々にお知らせをしました。そして、「ご家庭でも、どんな考えになったの?とか、その根拠は?などと話を聞いてあげてくださいね」とか、「できれば保護者の方の考えも提出していただけるとありがたいです」とお願いし、保護者の方専用の「提出BOX」もつくりました。すると、何名かの保護者の方は「提出BOX」にカードを作って提出してくださいました。その保護者の方の考えを授業中に紹介したら子どもたちも大喜び。「確かに!さすが!」とか「僕らのほうが根拠をいっぱいつなげてるぞ!」とたくさんの刺激を受けているようでした。
 保護者の方々からも「今の授業ってこんなふうにするんですね」とか「子どもたちの考えって深いですね」というお声をいただきました。保護者の方と手軽に授業の様子を共有できるのも、ICTを活用することのメリットだと感じています。今後も、学校での学びを保護者の方ともどんどん共有していきたいと考えています。

参観日を利用して保護者の方と学びを共有

※ページの内容は2025年11月時点の情報です。

使用製品

オクリンクプラス

個人思考と共同作業の自由な行き来により
子ども同士が対話し、主体的に学んでいく授業運営を支援。

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