導入事例

兵庫県高砂市立伊保小学校
他者とのかかわりの中で学ぶ喜びを
子どもたちは味わっています。
取材
兵庫県高砂市立伊保小学校
使用製品
オクリンク
学年
1年生、3年生

全校児童数が約400人、1学年2〜3クラスの中規模校の高砂市立伊保小学校。授業におけるICT活用率が兵庫県内でも高いことで知られる同校は、2023年度、「アクティブに学ぶ子の育成~対話力を育てる~」というテーマで日々の授業に取り組んできた。主体的で対話的な授業づくりにオクリンクがどのように役立っているのか、1年生担任の谷川陽祐先生、3年生担任の横田大二郎先生、そして山口收校長にお話をうかがった。

目的
・低学年から自分の考えを表出させたい
・対話を通じて学びを深めさせた
課題
・ICTを使うことを目的化させない
・子どもだけでなく、教員もまずは使ってみる
効果
・どの子どもも学びを楽しめる授業に
・子どもたちが対話を通して学習計画までつくれるように

導入背景・目的
低学年から自分の考えを表現し、
他者とともに学びを深められる授業を目指した

意見の表出と共有を1コマの中でスムーズに繰り返す

谷川先生

1年生の子どもたちにとって、自分の考えを口頭で伝えることは簡単ではありません。しかし、タブレットを使い、少し時間をかけて、文字を入力して自分の考えを表現するように促すと、どの子も意欲的に活動に取り組みます。もちろん、従来通りに紙と鉛筆を使うこともできますが、入力時に文字の太さや色を選べるタブレットを使うことで、子どもの意見表出のモチベーションが高まるため、授業ではICTを積極的に活用しています。


横田先生

自分の考えを表明するだけでなく、ほかの人の考えに触れるという点についても、紙よりもタブレットを使った方が意見の共有がスムーズです。そのため、3年生の授業でも、オクリンクのカードを使った意見共有を積極的に行っています。以前は、全体に共有したい子どもの意見を私が写真に撮るなどして紹介していましたが、今は提出させたオクリンクのカードをそのまま全体で共有すればよいので、授業の進度も確実にアップしています。


山口校長

きょうの谷川先生の1年生の生活科の授業では、オクリンクのカードに自分の意見を書いて提出し、それをもとにみんなで話し合っていました。文字を書くのが苦手な子どもは、間違った文字を消して書き直すのにもひと苦労するものですが、タブレットを使うことで、瞬時にきれいに消すことができ、文字を書き直すことのハードルを低くすることができていました。また、横田先生の3年生の国語の授業では、タブレットのよさを生かして、短い時間の中で意見共有を何度も繰り返していました。他者と自分を比較し、学びを深めるという点で、とてもよい授業だったと思います。


課題
道具として使いこなしながら
使うことだけに終始しない授業をつくりたい

自分の考えに向き合う時間をつくる

谷川先生

ICT活用によって子どもたちの中に意見を表出したいという気持ちが高まることはとてもすばらしいことですし、実際の授業でも子どもたちは自分の意見をオクリンクでどんどん他者に伝えようとします。だからこそ、ただ意見を出し合うだけでなく、ほかの子どもの意見を知ることで自分の考えがどう変わったり、深まったりしたかを、立ち止まって考えることができるような時間を低学年のうちから大切にしなければいけないと思います。


子どもも教員もまずは使ってみることが大切

横田先生

ICT活用能力は個人差があり、文字入力のスピードは子どもによってかなり違います。ただ、ICT活用能力はこれからの社会を生きる上で不可欠なものですから、「個人差が生まれやすいから授業では使わない」というわけにはいきません。子どもによって持っている力が違うからこそ、教員がサポートしながら、どの教科の授業でも積極的にICTを活用し、1人ひとりの子どものICT活用能力を向上させていく必要があると考えています。


山口校長 

子どもたちにとってICTに触れる機会が必要なように、教員にとってもICTの利活用の機会は不可欠です。自分が好きな教科、授業に自信がある教科については、積極的にICTを使わなくてもよい授業ができると考えている先生がいた場合、これまで私は「ICTを使うことで子どもの学びがどのように変化するかを見ることで、ICTの活用の有無を越えた本質的な授業改善のヒントが見つかるはずです。まずは使ってみることが大切ですよ」とお話してきました。そのようにして本校では、特定の教員だけではなく全教員がICTを使ってきたので、結果的にICT活用率が県内でも高くなっているのだと思います。

導入成果
子どもの違いを認めながら
だれひとり取り残さない授業に

苦手がある子どもからも授業の楽しみを奪わない

谷川先生

オクリンクを使った意見表出は、1年生でも簡単にできます。1年生では、紙に書くことが苦手な子どもも、タブレットに指で書いたり、キーボードで入力したりして、自分の意見をしっかりと他者に伝えることができています。人前で話すのが苦手な子どもも、楽しみながら授業に参加することができています。紙に書く練習を続けながら、授業で他者とかかわる楽しみを奪わないことが大切だと思います。


横田先生

本校では23年度、対話の中での深い学びの実現を目指しています。オクリンクのカードで自分の意見をクラスの友達に披露することで、学びの深まりとともに、他者とかかわっていく自信も得ていると思います。普段の授業からオクリンクを使ってミニプレゼンをしている子どもたちは、発表も大好きです。自分の考えや思いを他者に伝えたいという気持ちを高めることができていると感じています。今では、オクリンクでクラス全体で意見を交換しながら、単元の学習課題の設定や単元の学習計画の立案を子どもたち自身の力でつくっていくこともできるようになり、協働を伴う創造力も醸成できていると思います。


山口校長

どの学年、どのクラスにもいろいろな子がいます。話すのが得意な子・苦手な子、書くのが得意な子・苦手な子、いろいろな子がそれぞれのよさを発揮できる授業に近づけていると思います。高砂市は「『誰一人ほっとかへん』教育」を教育方針に掲げています。きょう、谷川先生、横田先生の授業で子どもたちが楽しそうに学んでいる様子を見て、ICTの活用は「『誰一人ほっとかへん』教育」の実現に確かに貢献していると思いました。


今後の展望・期待
対話し、学び合う喜びが味わわせて、
子どもたちをもっと笑顔にしたい

ICTは理想の学校をつくるためのツール

谷川先生

オクリンクの活用を通して、子どもたちは自分の考えや思いを伝える喜びを味わっています。今後は、子どもたちがもっと知りたい、調べたいと思うような問いを追究し、子どもたちの話し合いたい、伝え合いたいという気持ちをさらに高めていきたいです。


横田先生

ICTを道具として使いこなしながら、お互いの息づかいを感じ、しっかり目と目を合わせて対話ができる資質・能力を持った子ども、他者の存在を尊重できる子どもを育てたいです。そのために、小学校と中学校が連携した中期的な授業改善、ICT活用の研究にも、今後取り組んでみたいです。


山口校長

私は、すべての子どもたちが、毎朝笑顔で「おはよう」と声をかけ合える学校をつくりたいと思っています。子どもたちが毎日「きょうも友達とのつながりの中で何かを学べた、成長できた」という満足感を得られたなら、きっと次の日の朝、子どもたちは笑顔で登校するでしょう。子どもたちの笑顔のために、ICTをよりよく活用していきたいと思います。


兵庫県高砂市立伊保小学校

※ページの内容は2024年3月時点の情報です。

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