導入事例
学年を超える縦割り活動
~ICTが実現した「つながり」と
「主体性」の教育デザイン~
- 取材
- 滋賀県甲賀市立土山小学校 | 玉井まゆみ 校長先生、 松尾幸澄 教務主任、谷口めぐみ ICT支援員
- 使用製品
- オクリンクプラス
- 学年
- 全学年
異なる学年の交流を生み出す「縦割り活動」にICTを活用することで、子どもたちの主体性と地域への誇りを育んでいる甲賀市立土山小学校。今回はオクリンクプラスの活用による活動の活性化と、教育DXの推進についてお話を伺いました。
導入背景・目的
統合校だからこそ、つながりを生み出す仕掛けを
——学校全体で取り組まれている、縦割り活動について教えてください。
玉井校長:
本校は市内で初の統合校で、3つの小学校が一つになりました。子どもたちの地域が違うと、学年を超えた交流は希薄になりがちです。そこで、児童間の関係が自然と生まれるように、計画的に縦割り活動を行っています。これはコロナ禍の前から続けている取り組みです。

松尾教務主任:
給食週間にクイズラリーを企画したり、先週は百人一首大会を全校で行ったりしています。5、6年生がリーダーシップを発揮し、下級生は「大きなお兄さん、お姉さん」に憧れを抱きます。入学後すぐに行う遠足では、上級生が1年生の手をつないで桜並木を歩くのですが、1年生にとって頼れる存在が身近にいることを感じてもらう場になっています。
導入成果
ICTが変えた「伝える力」——高学年が輝く瞬間
——縦割り活動の準備で、オクリンクプラスを活用されているそうですね。
松尾教務主任:
5、6年生は、下級生に説明するための資料をオクリンクプラスで作ります。画像や動画を取り入れることで、口頭で説明するよりも格段に伝わりやすくなりました。またデータとして残すことで、次年度の参考資料にもなります。
児童総会では体育館のスクリーンに映し、全校で共有しています。例えば、委員会のメンバーが「靴をしっかり揃えましょう」と呼びかけた際は、児童が実演する画像や写真を使ってわかりやすく見せてくれました。
谷口ICT支援員:
縦割り遊びの場面では、高学年の子たちがリーダーシップを取って、そばにいた私に「先生、タイムキーパーやって」と指示することも。自分たちでルールを考えて、周囲を巻き込んでいく姿には驚きました。また、6年生は縦割り遊びの後に「目指せリーダー」という振り返りを行います。ちゃんと説明できたかを振り返り、次に積み上げる仕組みが根付いていてすごいと感じました。

——子どもたちは、ICTツールをどのように使いこなしていますか。
松尾教務主任:
教師よりも子どもたちの方が使いこなしていますね。抵抗を持っている子は一人もいません。書いた文字に色をつけたり、飾りをつけたりと工夫を楽しんでいます。1年生も入学して1ヶ月くらい経つと、カメラ撮影とペンでのお絵かきなどを使い始めています。

玉井校長:
低学年のうちは紙に書くことを大切にしていますが、タブレット学習の際もペンツールを使うことで手書き感覚で取り組めます。3年生以上であれば、ワークシートを配って提出ボックスに共有保存することも当たり前にできていますね。
地域と未来をつなぐ、プレゼン力の育成
——授業での活用で、特に印象的だったことは何ですか。
松尾教務主任:
どの教科でも、オクリンクプラスの「みんなのボード」を使うことが多いです。その場でクラス全体に共有できるので、誰がどう感じているか、次の課題に向けてどうするかを可視化できます。手を挙げて発言するのが苦手な子も、自分の意見を書いて提出できるのがいいですね。

玉井校長:
授業中に問題を解けていない子が、提出ボックスの友達の回答からヒントをもらって、自力で回答した場面を見ることもあります。子ども達にとって、先生が言うことは「正解」ですが、友達の考えから「なるほどそうなんだ!」という気づきをもらうことには、大きな価値があります。
谷口ICT支援員:
今年度、6年生の授業参観で「将来の夢」のプレゼンテーションを行いました。スピーチメモはありましたが、ほとんど見ずに、オクリンクプラスで作った資料を見せながら発表する子もたくさんいて、プレゼン力がこの1年で大きく伸びたと感じました。

——ICTの活用について、意識されていることはありますか。
玉井校長:
タブレットやICT教材のための授業計画ではなく、ツールとして効果的に授業に取り込もうと考えています。例えば3年生では地域のことを学ぶので、インターネットからダウンロードした画像や撮影した写真をもとに、「土山にはこんな場所があります」とプレゼンする。ICTを使って、わかりやすく伝える力を養っています。
松尾教務主任:
6年生の総合的な学習の時間では、土山で学んだ地域の良さを詰め込んだスイーツを考え、道の駅のスタッフさんの前でプレゼンを行いました。パティシエの方が協力してくださって、子どもたちの案を集めて実際にパフェを作ってくださり、試食会を実施しました。また、原材料費だけでなく、光熱費や人件費、利益なども含めて値段設定を考えることも経験できました。
3年生の頃から地元の土山を紹介するマップを作成して道の駅に置いてもらったり、地元に関するクイズを作ったりと、地域に根ざした活動を積み重ねてきた集大成になったと思います。

学びを止めない、ICT支援員という存在
——ICT支援員が果たしている役割について教えてください。
玉井校長:
谷口先生がいてくださると、すごく安心です。ICTに堪能な職員ばかりではないので、困った時にすぐ対応してくれると、授業の進み方が変わってきます。プログラミングも、私たちが習得するまでには時間がかかりますが、谷口先生が子どもたちに教えてくれるのでとても助かります。
松尾教務主任:
谷口先生は、使い方を聞いたら答えてくれるだけでなく、「こういうアイデアはどうですか」と授業内容に即した提案をしてくださるので、教員が方法を選べるのがありがたいです。「こんな方法もあるんだ、ぜひやってみよう」と選択肢が増えます。オクリンクプラスも機能が増えてきましたが、正直なところ、半分も使いこなせていないんじゃないかと思います。そういった新しい機能を知る術がほしい。現場で役立ちそうな情報を提供してくれる支援員の方の存在は大きいですね。
谷口ICT支援員:
昨年、先生方にアンケートを取らせていただいたところ、半分ぐらいの先生方が「ICT支援員がいなくなったら、学校のICT活用は止まるどころか後退する」と答えてくださいました。非常にありがたいと思いましたし、実際にお役に立てているんだなと実感しました。

——ICTの導入によって、学校はどのように変わりましたか。
玉井校長:
教育の本質は変わりませんが、効果と効率が高まりました。例えば音楽の宿題で、歌を録画して送ってもらうといった活用をしています。授業中にみんなの前で歌うのが恥ずかしい子にとっては、気持ちのハードルが低くなると思います。
松尾教務主任:
伝える手段、選択肢が増えました。それに、子どもたち自身が考え行動する後押しになっていると感じています。子どもたちから「オクリンク使います」「これ送るので印刷してください」と提案されることもあります。
また、動画で説明することで理解が深まったり、ボードの共有で友達と考えを共有できるようになったりと、効率化だけでなく新たな教育効果も生まれています。問題の解き方がわからない時に、クラスメイトの考えを見ることができますし、振り返りもその場で共有できる。教師からの指導に加えて、子どもたちの間で学び合いが生まれやすくなりました。

【編集後記】
ICTを目的ではなく「手段」として捉え、教員と子どもたちの選択肢を広げていること、またICT支援員の存在が持続可能な学びを支えていることも印象に残りました。
※ページの内容は2026年1月時点の情報です。
使用製品
オクリンクプラス
個人思考と共同作業の自由な行き来により
子ども同士が対話し、主体的に学んでいく授業運営を支援。


