いっしょに伸ばそう!ミライの芽/第1回「魔の6月」のクラス運営
こんにちは。
今年の3月まで東京都の小学校で教員をしていた庄子です。
現在はベネッセ教育総合研究所の研究員として活動をしています。
これから日々の学校生活や授業づくりについて、ミライシードをお使いの先生たちと一緒に考えていきたいと思っています。少しでも役立つ情報を発信できるようがんばります。
クラスルールの見直しと1学期中にやっておいた方がよい学級活動
ついこの間4月が始まったと思ったらもう6月。このクラスになって2ヶ月が経ちました。先生方のクラスはどうですか?
6月は「魔の6月」なんて呼ばれます。春に運動会があった学校は、終了後気が抜けている時期。
そんな時期にどうしていけばいいのか、一緒に考えてみましょう。
4月に決めたクラスルールはどうなっていますか?
4月に作ったクラスルールは、先生とクラスにどれだけ浸透しているでしょうか?
4月という忙しい時期に作ったルールですから、すべてがよいものとは限りません。また、クラスの雰囲気がよいなら必要のないルールを減らせるかもしれませんし、うまくいっていないなら、ルールの変更や追加を検討したいですよね。
そんな時、どんなことに気をつけるべきでしょうか?
クラスルールは、みんなで決める。
「⚪︎⚪︎がうまくいかないから、これはなしね。」
先生がルールを一方的に変えてしまうと子どもたちのやる気は削がれ、クラスの雰囲気はよくない流れになってしまいます。
学級は、担任のためにあるのではありません。子どもたちのためにあるのです。ならば、ルールも子どもたちと決めるべきです。
「6月になったけれど、私はみんなのこんなところがすてきだと思うよ。運動会の前日に準備がうまく進んでいないグループがあってね ・・・」
「事実という言葉は存在しない。そこには解釈があるだけだ。」という言葉が私は大好きです。あなたが見ている学級の事実は、あくまであなたの解釈でしかありません。
あなたがよい解釈をすれば、あなたのクラスはもっともっとよくなるのです。
なら、よい解釈をし続けたくありませんか?
「こんなにすばらしいクラスだけれど、音楽などのクラス移動の時、動きが遅いのが先生は気になっているんだ。先生が気にしているだけかもしれないけれど」
子どもたちから「そんなことないよ」なんて声があがります。
「ではどうすればいいかな?」
常に教師が上から決めるのではありません。子どもたちが最後は決めます。そこまでの空気を作るのは、教師の仕事です。
「前の時間に準備すればいいよ」
「廊下に出たら、話さないって決まり にしようよ」
「できたら、みんなでほめあうっていうのはどうかな?」
ここを話し合いにするのもよいですが、オクリンクやムーブノートを使うのもおすすめです。
クラス全員の意見を基に合意形成をしたい場面では、オクリンクの「提出BOX」やムーブノートの「広場」で、全員の考えを確認しながら話し合うことが効果的です。
「話合い活動の効率化」 の事例が参考になります。
意見共有の時間を大幅に短縮できるため、合意形成にじっくりと時間をかけることができます。
初心者の先生は、白紙のカードを配るだけでもよいと思います。クラス全員に考えを書いてもらい、「提出BOX」あるいはムーブノートの場合は「広場」に送ってもらいましょう。
みんなで考えを共有しながら、話し合いを進めることができます。
「提出BOX」や「広場」に送ったら、教師は全員が見える状態にしておくことで、やりとりが活性化します。
「⚪︎⚪︎さんの考えに賛成です。なぜなら・・・」
「でも、決まりは多すぎない方がよくないですか?」
「⚪︎⚪︎ができなかったときはどうしますか?」
常に教師は良い問いをほめ、認め、はげまします。そして、子どもたちのやりとりが落ち着いたら 「でもこうした時はどうする?」と常に問い続けます。
そうすることで、子どもたちが自分たちで考えていくクラスを作っていくことができます。
最後に。
きまりは極力少なく。
なぜなら、きまりを破った時には、どうしてもしからなくてはいけない場面が出てきてしまうからです。
教師も怒りたくないし、子どもたちも怒られたくない。それであれば、 怒られなくていい環境作りをしていくことは、教師の役目だと思います。
2、3学期よい学級にしていくためには夏休みまでの この残り2ヶ月が大切。1人で抱え込まず、職員室の先生たちと相談してみるのもいいですね 。
いかがでしたか。これから毎月異なるテーマでコラムを配信していきますので、ぜひお楽しみに!
【執筆者プロフィール】
庄子寛之
元・東京都公立小学校 指導教諭
現・ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター 研究員