5月度支援員セミナー「デジタル・シティズンシップを学びICT活用の土台を築こう!」振り返りレポート
毎月定期的に開催している「ICT支援員限定セミナー」。5月度は5月22日(木)に金沢市公立中学校の浅見拓真先生から「デジタル・シティズンシップを学びICT活用の土台を築こう!」と題した講話をいただきました。
先生の講話の内容に加えて、参加いただいた皆様のアンケートから特に印象に残ったポイントを振り返ります。

◆特別講演 金沢市立高岡中学校 浅見拓真先生
「デジタル・シティズンシップを学びICT活用の土台を築こう!」
■講話の概要
デジタル・シティズンシップについて、欧州評議会では次のように定義されている。
”デジタル技術の利用を通じて、社会に積極的に関与し、参加する能力のこと” 欧州評議会(2020)
インターネットというデジタルの社会に生きている人たちは「デジタル市民(シティズン)」であり、インターネットという公共の空間にあるルールやマナーを守らなければいけない。効果的なデジタル・シティズンシップ能力は、早くからスマホを使っていたら自然に身につくということはなく、学んで実践する必要がある。

デジタル・シティズンシップの特徴は以下の4点。

1.子どもの興味、魅力、実態、切実感に共感する。
→使ったら怖いことが起こるなどとデジタルの使用を規制しようとするのは意味が ない。子どもたちの生活実態に合わせた、必然性のあるデジタルの使い方を教えていくことが必要。
2.言葉の定義や仕組みを明解に示す。
→行動したことは、自分自身に、身の回りに、そして世界に影響を及ぼす。
オンラインの世界では、意図せず公の世界に飛び出してしまうことがよくあるので、公の世界で果たすべき身のふるまい方に責任をもつことが必要。
「責任」とは、自分や他の人に対してしなければならないこと。
3.思考ルーティーンを教える。
→違和感を感じたり困ったりした時は、①立ち止まる、②考え確かめる、③わからなければ相談する、という3つの思考ステップが大切。
4.デジタルジレンマについて考える。
→対話を通じて、物事には必ずいいことと悪いことがあるし、人はそれぞれ考え方が違うということに気づかせることが大切。
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講演の中では、総務省や経産省から発信されている学習コンテンツや、ヘイトスピーチを題材にした授業実践についても紹介されました。
・総務省「家庭で学ぶデジタル・シティズンシップ」
・経産省 STEAMライブラリー「デジタル・シティズンシップ」
・「ムーブノートを用いたDC教育の実践―ヘイトスピーチにどう対応するか―」
参加された皆さまがオクリンクプラスを使って意見を投稿するワークもあり、授業展開を具体的に体験することができました。(授業の指導案と共有コードは参加者に配布されました)


◆浅見拓真先生×チーフICTサポータ平山との対談
参加者による質問対応
Q1 情報モラルとデジタル・シティズンシップとの違いは?
浅見先生 情報モラル教育は「使わない」ことを前提としたもの、デジタル・シティズンシップ教育は「使う」ことを前提としたもの。デジタルをよりよく使っていこうという立場から考えるという点がいちばん大きな違いだと考えている。
Q2 学校で情報リテラシーを広めるための施策は?
浅見先生 ICT支援員の方に、道徳の時間に授業を実施してもらったのが効果的だった。学期に1回テーマを決めて実施したが、子どもたちにとって意味ある学習になっただけではなく、教員にとってもデジタル・シティズンシップの研修のように活用できた。
Q3 学校でも家庭でもデジタルを操作する子どもたちは脳が休まる時がないように思う が、デジタル活用の目安などはあるか?
浅見先生 WHOのスクリーンタイムの目安は小学生が1時間程度、中学生が2時間程度だが、実際にはすぐに超えてしまうのが現実。時間の長さよりは、何をしたかという内容のほうが重要だと考えている。また、デジタルに触れていない時間の活動が重要で、学校では対人コミュニケーションの機会や身体を使った活動も多いので問題ないだろう。
■参加された皆さまの感想
・デジタル・シティズンシップについて、現場の先生の考えを聞きながら改めて勉強できたよい時間となった。
・浅見先生のお話を先生方にお伝えしたい。デジタル技術を用いて積極的に社会に参加するという言葉がとても印象に残った。
・デジタル・シティズンシップについてよくわかった。学校への提案や導入についても教えていただけた。
◆ドリルパークアップデート情報
4月に新しく追加されたコンテンツとおすすめの活用法が紹介されました。子どもたちの学習をしっかりサポートすることはもちろん、その進捗状況を先生がきちんと把握できる点についても詳しく説明がありました。
<Newリリース>
・小学3〜6年生「英語AIドリル」
→聞く・読む・書くの3技能をバランスよくトレーニングできる。
・中学1〜3年生「暗記計算ドリル」5教科合わせて約12,000問
→「覚える・覚え直す・確認する」というステップを踏む問題構成。
・中学1〜3年生「定期テスト対策ドリル」基礎・標準・応用
→教科書単元対応なので、定期テスト前に取り組むのがおススメ。
基礎・標準・応用のレベル別で問題を厳選。自分に合ったレベルで学習できる。
英語と数学には、要点や解き方を確認できる映像講義付き。

このほかに、デジタル・シティズンシップ教育を推進していくために有効活用できる小中学校の「情報活用能力と授業案の対応表」の配布案内や、毎回好評な時期に合わせた授業実践テンプレートが紹介されました。
今回も盛りだくさんの内容でした。ご参加いただいたICT支援員の皆さま、ありがとうございました!
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次回7月17日(木)セミナーでは、
テーマ:「研究授業」の予定です。
※申込ページ:【ICT支援員】ミライシード研修セミナー
ベネッセでは今後も、ICT支援員の方々に向けたセミナーや企画を実施してまいります。今回参加できなかったという方も、今後のご参加をお待ちしております!
