【小学校】学年主任1年目の教科書
なったらまず何をする?役割と仕事の進め方
働き方
執筆/埼玉県公立小学校教諭 渡辺 真先生
初めて学年主任を任され、「何から手をつければよいのだろう」と戸惑っている先生は多いのではないでしょうか。
私自身、採用7年目の年に初めて学年主任を任せていただきました。任せていただいた使命感や責任感と併せて、漠然とした不安を抱えていたことを覚えています。
そして、今の学校に異動となり学年主任を経験してたどり着いたのは、学年主任に必要なのは特別なリーダーシップではない、ということでした。大切なのは「1年の見通しを持つこと」と「情報を共有すること」。この2つが整っていれば、学年は自然と回り始めます。
この記事では、私が試行錯誤の末に身につけた年度はじめの動き方と、先生方との日々の関わり方をご紹介します。
この記事でわかること
- 学年主任の役割——仕事を3つに分けて考える方法
- なったらまず何をするか——年度末から4月までにやること
- 4月に決めておきたい学年経営方針と役割分担
- 複数クラスの足並みをそろえる「情報共有」の仕組み
- 一人で抱え込まない仕事の任せ方と、相談されやすい学年づくり
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学年主任 年度当初の仕事チェックリスト
4月の分担決めフォーマット
学年会 年間の議題一覧(例)
いつ何を持ち帰るかの計画立てに。学期末の持ち帰るものリスト(子ども向け)
4月の学年集会プレゼン見本
学年主任の仕事は年度末から始まる
【4月までに押さえたい準備】
学年主任の仕事は多岐にわたりますが、私は大きく3つに分けて、考えています。
見通しをつくる——1年の流れを把握し、先を読んで動く
情報をつなぐ——複数のクラスの間で、必要なことを共有する
委ねて、支える——一人で抱えず、学年の先生方と分担する
この3つが整っていれば、学年の仕事はおおむね回っていきます。ここから先は、この順番に沿ってお話ししていきます。
まずは「年間行事予定」を確認する
まず、担当の学年が決まったら、校内で作成している「年間行事予定」のチェックをしましょう。特に、その学年特有の行事については要チェックです。
私は初めて学年主任になった際に校外学習に必要な書類を把握しておらず作成が遅れてしまったことがあったり、行事を計画している際に管理職への確認が遅れてしまい、迷惑をかけてしまったりしたことがありました。
学年特有の行事の場合、様々に把握しておかなければならないこともあります。
「年間行事予定」のチェックポイント例
☐ 必要な書類はどのようなものがあるのか?
☐ 準備するものは何か?
☐ 連絡する場所はあるのか?
☐ ゲストティーチャーは呼ぶのか?
前年度の学年主任に話を聞いておく
また、年間行事予定の確認と併せて、前年度その学年を持っていた学年主任の先生にお時間を作っていただき、特に大事な学習や行事などを聞いてみると、より正確な情報を得ることができます。
1年の流れを書きだし、「仕事」と「分担」を見える化する
1年間の学年の流れが見えてくると、必要な仕事はどのようなものがあるのかが見えてきます。それを書き出してみます。(パソコンでも手書きでも構いません。)
その作成した資料は、次年度新たにその学年を持った学年主任と共有することもでき、伝達する際に役立つこともあります。
1年間の流れを見通してみると、どこが忙しくなるのか?どのような仕事の分担が必要となるのかが見えてきます。
「どのような学年にしたいか」の目線をそろえることが大切。
4月にやること
学年経営方針の共有と役割分担
「どんな1年にしたいか」「どんな学年にしたいか」を
言葉にする
ここまでのことが年度末〜年度初めまでにできていれば良いのですが、様々な仕事が重なる年度末。そして異動がある先生もいると思います。そこまでできない……となるかもしれません。
その時には「どんな1年にしたいか」「どんな学年にしていきたいか」を共有する準備だけはしておくと良いと思います。
今年度私は学年だよりのタイトルから学年の先生方へお話をさせていただきました。(学年だよりのタイトルはみんなで決めたいという思いの先生もいるかもしれませんが今年は自分が決定させてもらいました。)そこで学年だよりの「カレーライス」と言うタイトルに込めた思いを話しました。
この話は、初めの学年集会で子どもたちの前で私が話した内容です。
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“今年の学年だよりのタイトル、 そして学年の合言葉は「カレーライス」としました。
カレーライスは、みんなが大好きなメニューです。
そんなカレーライスのように、みんなから愛される学年になってほしい。
そして自分たちも学年のことを好きになって欲しいという思いでつけました。
カレーライスの中には何が入っていますか?
「お肉」「たまねぎ」「にんじん」「じゃがいも」
お肉のないカレーライスってどうですか?
何だか物足りないよね?
学年やクラスのメンバーも一人一人それぞれの良さを活かして
頑張って欲しいと思っています。
どれも欠けては美味しいカレーライスにはなれないよね。
一人一人の良さを活かしてカレーライスのような学年にしていこう。”
こんな内容を話し、子どもたちも笑顔で聞いてくれました。

学年の合言葉「カレーライス」を示した学年集会用スライド

合言葉に込めた3つの願い。学年集会でこの3つを子どもたちに伝えました
4月の学年の顔合わせは自己紹介から―先生方の「得意」を知る
4月の学年発表の後、職員室の席を移動して新たな学年が始まった時、まず初めに自己紹介をするようにしています。自己紹介では、名前はもちろんですが趣味や好きな教科など自由に話すようにしています。
その中で「音楽が得意な〇〇先生」「ダンスが得意な〇〇先生」など同じ学年の先生方の得意なことや好きなことなどを知れると良いと思います。
年間の行事を見てみると「音楽会」や「運動会」などの行事があると思います。4月の段階でこの行事の主担当を初めに決めておくと今後の話し合いや行事の動きなどがスムーズに進んでいきます。もちろん、その先生に全てお願いするのではなく、学年で協力して進めていくというスタンスは必要となります。
役割分担は偏りがないように
自己紹介や行事の分担が済んだら他にも分担をすることはあります。「学年だよりはいつ誰が作るのか」「学年の会計は誰が主で進めるのか」その他にも、「校務分掌は誰が何をするか」など決めることはたくさんあります。校務分掌については、それぞれの主任はすでに決まっていることがあるかもしれません。その後所属する分掌を決める際には「会議が設定される部であるか」を意識して分担するようにしています。特に会議に時間を必要とする分掌は偏らないように意識した方が負担は軽減されていきます。
目指すのは「気づいたら誰かがやっている」から「お互いの状況を考えて、みんなが進んで動く」へ
学年主任の要は「情報共有」
複数クラスの足並みをそろえる仕組み
情報共有を確実に
7年目に勤務していた小規模校では、学級担任としての仕事に追われながらも、学年全員の顔が常に見える距離感でした。クラスは隣、職員室も担任の先生と席は隣。授業の様子や児童の様子、学級経営の状況など把握しやすく、アットホームな連携でなんとか乗り切ることができていました。
しかし、3校目に異動し、大規模校へ赴任したことで状況は一変しました。大人数のチームを動かす上では、これまでのやり方だけでは通用せず、学年主任としての「視点」や「仕組みづくり」を大きくアップデートする必要性を痛感したのです。
そこでいま、私が学年主任として1番意識しているのが「情報共有」です。 クラス数が多くなってくると、この共有がより重要になってきます。
共有したい3つの情報
・児童・保護者——何があったか、どのように関わったか
・授業・行事——どのように進めるか
・校務分掌——何を伝えるか、どう分担するか
①児童・保護者のこと
第一に大切にしたいのが、子どもたちや保護者の方々との日々の関わりにおける情報共有です。
日頃の子どもたちの様子や変化、ご家庭とのやり取り、そして「どう支援していくとより良いか」といった担任の思いや悩みを、学年全体で共有します。
ここを丁寧につないでおくことで、どの先生も同じ温かい目線で子どもたちに関わることができ、保護者の方々の安心感にもつながります。
また、学年内にとどまらず、必要に応じて管理職や専科の先生方とも思いを共有し、学校全体でお子さんや保護者の方をサポートできる体制をつくることも大切にしています。
②授業・行事のこと
次に意識しているのが「授業の進度」です。特に毎週行われる学年会では、この授業進度を意識して確認しています。確認だけでなく、「○月までに〇〇まで終わらせるようにしよう」と言う目標を提示するようにしています。
それを行うためには先を見通した週案の作成をお勧めします。週案を作成しておくことで、授業で必要な準備物が見えてきたり、実際に授業をする際の見通しが持てるようになります。
また、先に授業をして失敗してしまったことや授業をして時間がかかったところなどを共有すると、より一緒に組んでいる若手の先生方なども授業のイメージを持つことができるようになります。
③校務分掌のこと
最後に校務分掌に関わる情報共有や分担です。各校務分掌では放課後などに会議が開かれる部もあります。(本校では部会と言われています。)その中で伝達の必要なものがあったのか、話し合うことがあるのかなどを確認するようにしています。その際に、分担が必要でしたらその場で行ったり、決める必要があるものについては話し合いを行ったりしています。
学年主任として共有を意識している3つの情報。何を伝えるかを整理しておく
週に一回の学年会と毎日の声かけを
本校では、週に一回の学年会が放課後に設定されています。資料を元に話し合ったり、行事や授業の準備を協力して行ったりと、時間の使い方は学年に委ねられています。私はいつも、あらかじめ用意した学年会資料をもとに進めています。私の自治体ではMicrosoftが導入されているため、学年会の土台にはTeamsを使っています。
Teams上に学年のチームを作成し、そこに学年会の資料を置いています。このとき、共同編集ができる形式で添付しておくのがポイントです。 会議中に私以外の先生も直接書き込めるので、進行がぐんとスムーズになります。(資料はCanvaのドキュメントで作成し同時に効率化も図っています。)
情報共有とあわせて、相談や悩んでいることを話し合うこともあり、これについては学年会の時間以外にも毎日の声掛けを意識して行っています。体調はどうか?困っていることはないか?など雑談のようなことでも意識して声掛けをしています。この声かけは、私だけでなく、学年の先生方が様々なタイミングで行えることがベストと考えています。
水曜に週案、金曜に学年会、そして毎日のひと声。曜日で決めておくと、確認が習慣になります。
資料やテンプレートを学年で共有する
情報共有の中で他にも意識していることは、学年で作った教材や資料を共有することです。タブレットが支給され、その共有もデジタルで容易にできるようになりました。私自身もCanvaで作成したテンプレートを共有したり、Padletで作成した授業でよく使うタイピングのサイトを共有したりしています。
また私だけでなく学年の先生方にも共有してもらうようにしています。共有することで授業の流れが見えたり、授業の準備時間が短縮されたりとメリットは大きいです。デジタルに関わらず、紙のワークシートや作成したテストプリントを共有することもあります。

Canvaで作成したポータルサイトのテンプレート。授業でよく使うサイトへの入口をまとめています。

Padletでタイピングサイトをまとめておくことで誰でもすぐアクセスできます。
仕事の「委ね方」と
相談されやすい雰囲気づくり
先生方の得意が光る役割分担
4月の自己紹介で知った先生方の「得意」は、ここで活きてきます。その「得意」と行事をリンクできるようにしています。学年の先生方が主担当として活躍してもらえるよう、そして一緒に考えていくことができるようにしている取り組みの一つです。
主担当をお願いする意図は、学年主任だけが前に立ち続けるのではなく、「学年の先生方全員が主役になれる場面を作りたい」という思いがあるからです。子どもたちにとっても、「〇〇先生は音楽がすごく上手!」「〇〇先生のお話はいつも面白い!」など、いろいろな先生の素敵な一面に気づくきっかけになります。
ただ作業として割り振るのではなく、先生方の「得意」や「好き」に寄り添ってお願いすることで、行事や日々の活動にもそれぞれの先生のこだわりや想いが自然とあふれ、より魅力的な学年づくりにつながっていくと感じています。
お願いする前に、まずは自分から動く
仕事を分担していく際、学年主任はどうしても「お願いする」場面が増えていきます。そんな時に私が心掛けているのは、「まずは自分自身が率先して何事にも取り組んでいく姿勢を持つ」ことです。人に何かをお願いする以上、自分自身が率先して動く存在でありたいと考えています。
また、私は過去に組んだ学年主任の先生に、こう言われたことがありました。
「私がやっても良いのだけど、渡辺先生に仕事を覚えてもらえるようにお願いしていいかな?」
その後にこう続けてくださいました。
「失敗しても良いから一緒に頑張ろう。」
そのやり取りで、任せてもらえた仕事に責任を持って取り組むことができました。その言葉は今でも私の中に残っており、自分から率先して動きながら、学年の先生方と支え合って仕事を進めていきたい、という思いに繋がっています。
相談しやすい雰囲気作り
学年内の報・連・相をスムーズにするためには、まず「何でも話せる雰囲気づくり」が欠かせないと感じています。その中で私自身が最も大切にしているのは、「先生方から話しかけられたときは、作業の手を止めて耳を傾ける」ことです。
言葉で言うのは簡単ですが、自分自身に気持ちのゆとりがないと難しい時もあります。だからこそ、日頃から意識して心に余白を持つよう心がけています。
また、学年の先生が困っている時には、すぐにサポートへ駆けつけられる存在でありたいと思っています。タブレットや機器の不調、児童の怪我、休み時間のトラブル。学校現場では予測できない出来事が日々起こります。そんな時こそ「一人で抱え込まない」ために、率先してフォローへ向かうよう意識しています。時には空き時間を活用して、CanvaやオクリンクプラスといったICT活用のサポートを兼ねながら、担任の先生や子どもたちと一緒に授業に入ることもあります。
また、普段から行き来しやすくしておくことも大切だと感じています。本校には、職員室近くのホワイトボードに授業を校内へ公開する日時や内容を自由に記入し、授業を気軽に見せ合える仕組みがあります。私自身も道徳やICT活用の授業を積極的に公開し、先生方に気軽に足を運んでもらえるよう取り組んでいます。
このように、相談しやすい雰囲気づくりのために意識しているのは、「話を聞くときは手を止めること」、そしていつでも気軽に声をかけてもらえるよう「自分から積極的に関わりに行くこと」の2つです。
まとめ
初めて学年主任をされる先生方へ
以上が、私が学年主任として意識していることです。私も悩んだり失敗したり、学年に相談を投げかけたりと試行錯誤しながら日々の仕事を行っています。
特に1年目には失敗をしてしまったこと、迷惑をかけてしまったことなど様々にありました。しかし学年主任を任せていただき、達成感や充実感を味わうことができるのも事実です。
もしかしたら不安を抱えていらっしゃる先生方、完璧にしなくてはならないと思っている先生方もいらっしゃるかもしれません。確かに学年の舵取り役となる面もあるかもしれませんが、学年のメンバーと共に作り上げていく仕事だと捉えると良いのかと思います。
今回の記事が、学年主任の仕事をしていく上で少しでもお役に立てたら嬉しいです。明日からの学年主任の仕事を応援しています。
先生のプロフィール
渡辺 真 先生
埼玉県公立小学校教諭。
道徳教科書編集員、ミライシードDXエデュケーター、Microsoft Elevate Educator Expert、デジタル庁デジタル推進委員、EDUBASE CREWなどとして幅広く活動中。併せて、道徳科の学習を中心に授業におけるICTの効果的な活用について研究をしている。
「さる先生の実践Canva」(学陽書房)、「授業力学級経営力」(明治図書)、『指導者用デジタル教科書(教材) 』『指導者用デジタル教材』(教育出版)の授業展開例などにおいて原稿を執筆。https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/r6shou/digital/plans.html