【学級経営】夏休み明けは「ゆるく」再スタート
子どもの心をほぐす5つのポイント
学級経営
執筆/ヨシミ先生 小学校教師×学級経営アドバイザー
「このまま2学期を始めて大丈夫かな」
夏休みが終わりに近づくと、1学期の学級経営を振り返り、不安を感じる先生もいるのではないでしょうか。
学級目標を掲げたものの、いつの間にか子どもたちの意識から離れてしまった。1学期に気になっていたことを、2学期こそ改善したい。そんな思いから、夏休み明けはつい指導にも力が入りがちです。
しかし、夏休み明けに大切なのは、初日から一気に学校生活へ戻そうとすることではありません。
まずは子どもたちに安心感を届け、人とのつながりや生活のリズムを少しずつ取り戻していくことが大切です。
初日から先生だけがアクセル全開になると、先生はF1マシンでやる気満々なのに対して、子どもたちはまだパジャマ姿でスタートラインに立っている、ということが起こります。それでは、子どもたちはなかなか追いつけません。
夏休み明けの学級経営は、先生だけが先に走りだすのではなく、子どもたちのペースに合わせながら、ゆとりをもってスタートすることが大切です。
この記事では、子どもの心をほぐしながら2学期をスタートするために、私が小学校で実践してきた「安心感の届け方」「人とのつながりを取り戻す活動」「子どもと学級を見直す工夫」を紹介します。
先生も子どもも一緒に、2学期のエンジンをゆっくりとかけていきましょう。


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小学校の夏休み明けの学級経営で大切な考え方
① 子どもはまだ学校モードではない
長い夏休みが終わった直後は子どもの不安や緊張が表れやすい時期です。
「友達とうまく話せるかな」
「宿題が終わっていない。怒られるかもしれない」
そのような気持ちを抱えながら教室へ来ている子もいるかもしれません。元気いっぱいに登校する子がいる一方で、少し重たい足取りで教室へ向かう子もいます。
体は教室に到着していても、心はまだ夏休みの途中です。
だからこそ、初日から完璧な学校生活を求めるのではなく、まずは子どもが安心して教室で過ごせる雰囲気をつくることが大切です。
② まずは「学校に来たこと」を認める
私は夏休み明けの初日、子どもたちに、
「今日は、学校に来ただけで120点です」
と伝えます。
様々な気持ちを抱えながらも、学校まで来たことを、まずは認めたいからです。
もちろん、「宿題をしなくてもよい」「忘れ物をしてもよい」という意味ではありません。大切なのは、伝える順番です。
まずは学校に来たことを認める。そのうえで、できていないことがあれば一緒に整えていく。
安心できる土台があるからこそ、その後の指導も子どもに届きやすくなります。
➂ 夏休み前との「小さな違い」に目を向ける
子どもたちに安心感を届けた後は、一人ひとりの様子にも目を向けます。
例えば、次のような変化がないかを見ていきます。
・表情や口数に変化はないか
・友達とのかかわり方が変わっていないか
・必要以上に明るく振る舞っていないか
・一人で過ごす時間が増えていないか
・体調不良を訴えることが増えていないか
気になる変化があれば、担任一人で抱え込まず、管理職や養護教諭、スクールカウンセラーなどと共有します。
子どもの小さな変化を見逃さないこと。そして、担任一人で抱え込まないことも、夏休み明けの学級経営では大切なポイントです。


宿題回収・目標設定のポイント
夏休み明けの初日は、宿題の回収や2学期の目標設定など、教師が進めたいことがたくさんあります。一方、子どもにとっては、どちらも少し緊張する時間です。
ここでも、まず安心できる雰囲気をつくり、その後の行動につなげていくことを意識します。
① 宿題回収は「安心」と「責任」を両立する
夏休み明けの宿題回収では、教室の緊張をほぐすために、少し笑いを取り入れることがあります。
私は低い声で、
「宿題が終わっていない人は、今すぐ立ちなさい」
と伝えます。数名が恐る恐る立ったところで少し間を取り、
「忘れ物……しても来てれば……ドンマイケル!」
と続けます。
宿題を忘れた子を笑うためではありません。「怒られるかもしれない」と緊張している子が、まず教師の話を聞ける状態をつくるためです。
その後、その日の宿題を「夏休みの宿題の仕上げ」とします。
きちんと終わらせてきた子の努力を認めながら、終わっていない子にもやり直す機会をつくる。
安心感は届ける。一方で、やるべきことは曖昧にしない。
この両方を大切にしています。

② 目標設定は「休み前」に準備しておく
2学期初日に、
「2学期に頑張りたいことを書きましょう」
と伝えても、「勉強を頑張る」「忘れ物をしない」など、漠然とした目標になってしまうことがあります。
そこで私は、1学期の終業式の日に通知表などをもとに1学期を振り返り、その時点で2学期の目標を紙に書いてもらいます。
書いたものは教師が保管し、夏休み明けにもう一度子どもたちへ返します。
すると、
「そうだった。こんなことを考えていたんだった」
と、休みに入る前の自分の気持ちを思い出すきっかけになります。
このように、未来の行動をあらかじめ決めておくことを、心理学では「プレコミットメント」と呼びます。
3学期の目標は2学期の終業式に仕込めます。3学期に向けて取り入れてみるのもよいでしょう。
休み明けの自分を助ける準備を、休みに入る前にしておく。それだけでも、子どもも教師も次の学期を少しゆとりをもって始められます。


夏休み明け初日におすすめの活動
夏休み明けに取り戻したいのは、生活リズムだけではありません。
友達や先生とのつながりや、「学校に来るのも悪くないな」と思える感覚を取り戻すことも大切です。
そこで、時間を確保できる場合は「夏休みすごろく」、短時間で取り組みたい場合は「まあいっかじゃんけん」を行っています。
① 時間を確保できるなら、「夏休みすごろく」
夏休み明けにおすすめしたい活動の一つが、「夏休みすごろく」です。
目的は、誰が一番早くゴールするかを競うことではありません。サイコロの偶然性を活用して、子ども同士が自然に話せるきっかけをつくることです。
活動を始める前には、まず教師自身が夏休みの出来事を紹介します。
私は、
・ダラダラしたこと
・コツコツ取り組んだこと
・ドキドキしたこと
・ハッピーだったこと
の4つに分けて話します。
成功した話だけではなく、
「ダイエットをしようと思っていたけれど、ダイエットの動画を見ただけで終わりました」
といった、少し失敗した話も交えます。
子どもに自己開示を求める前に、まず教師自身が心を開く。それによって、子どもも自分のことを話しやすくなります。
夏休みすごろくには、思い出を話すマスや友達をほめるマス、2学期について考えるマスなどを用意します。
「夏休みの思い出を発表しましょう」と言われると緊張する子でも、すごろくのマスをきっかけにすることで、話しやすくなることがあります。
また、グループでの活動に入りにくい子には、「じゃんけんマスター」などの役割をお願いすることもできます。全員に同じ参加方法を求めるのではなく、目の前の子どもたちに合わせて、マスや役割を調整することも大切です。
詳しいルールやマスの内容は、ダウンロードできる「夏休みすごろく」を参考にしてください。学級の実態に合わせて自由にアレンジできます。

「夏休みすごろく」は本ページからダウンロードできます。
② 時間がないときは「5分でできる まあいっかじゃんけん」
「すごろくをする時間までは取れない」という場合には、「まあいっかじゃんけん」がおすすめです。
近くの友達とじゃんけんをして、
勝ったら「ありがとう」
負けたら「まあいっか」
あいこならグータッチをして「イエーイ」
と声をかけ合います。終わったら、次の相手を探します。
大切なのは勝敗ではありません。
短い時間の中で様々な友達と顔を合わせ、声を出し、体を動かすことが目的です。
「まあいっか」と気持ちを切り替える。「ありがとう」と相手を受け止める。シンプルなじゃんけんの中にも、人とかかわるための小さなしかけがあります。
時間は3~5分程度です。教師も一緒に参加します。
長い休みの後だからこそ、いきなり通常の学校生活へ戻そうとせず、まずはこうした短い活動から教室の雰囲気を少しずつ温めていきます。


教室の空気がほぐれた後に、
子どもと学級を見直す
「夏休みすごろく」や「まあいっかじゃんけん」で教室に声や笑顔が戻ってきたら、1学期の学級生活も少しずつ振り返ります。
ただし、いきなり、
「それでは、1学期の反省点を書きましょう」
と始めることはおすすめしません。
夏休み明けに行いたいのは、1学期をなかったことにして学級を「やり直す」ことではありません。1学期に積み上げてきたものを土台に、今の子どもたちに合う形へ「見直す」ことです。
① まずは「よかったこと」から振り返る最初に、「みんなで協力できたこと」、「できるようになったこと」、「クラスの好きなところ」など、1学期のよかったことを出します。
その後で、「もっとよいクラスにするために、もう少しよくしたいことはなんだろう」と考えていきます。
まずは一人で考え、その後ペアやグループで共有します。
このとき、教師は子どもたちから出てきた意見を、あらかじめ用意した「正解」へすぐに誘導しないようにします。大切なのは、「先生がどうしてほしいか」ではなく、「自分たちはどのようなクラスにしたいか」を、子どもたち自身が考えることです。
② 一度に全部やらず、「まず一つ」
話し合いをすると、
「あいさつ」、「時間」、「掃除」、「言葉遣い」、「友達への優しさ」
など、様々な課題が出てきます。
どれも大切ですが、一度にすべてを改善しようとすると、トッピング全マシのチョモランマラーメンのような状態になってしまいます。具材は豪華でも、多すぎるとどこから食べればよいのかわかりません。最終的には、眺めて終わってしまいます。
学級の取り組みも同じです。そこで「まずはこれを1週間やってみよう」と、クラスで取り組むことを1つに絞ります。
例えば、「朝の会を時間通りに始める」と決めた場合は、一人ひとりが、「そのために、自分がすること」を考えます。
「朝の準備を早く終わらせる」、「チャイムの前に席に着く」、「友達に声をかける」
など、クラス全体で同じ方向を目指しながら、一人ひとりが自分にできる行動を決めます。
1週間後には、
「クラスはどう変わったか」、「自分ができたことは何か」、「次はどうするか」
を振り返ります。
学級経営は、4月に一度つくって完成するものではありません。子どもたちの成長や学級の状態に合わせて、何度でもアップデートしていくものです。


ワークシートは本ページからダウンロードできます。
夏休み明けは
「また明日も来よう」と思える日に
夏休み明けから、すぐに完璧な学校生活へ戻そうとする必要はありません。必要なのは、爆速スタートではなく、ゆとりをもったスロースタートです。
忘れていることがあれば、もう一度思い出す。
生活のリズムが崩れているなら、少しずつ戻していく。
友達との距離が離れているなら、もう一度つながっていく。
大人でも、長い休みの後は仕事のリズムを取り戻すまでに時間がかかるものです。子どもたちにも、学校生活へ戻るための時間が必要です。
夏休み明け初日にまず目指したいのは、子どもたちが帰るときに、
「最初は少し気が重かったけれど、学校に来てみたら楽しかったな」
と思えることです。
友達と笑った。先生と話した。久しぶりにみんなで遊んだ。そんな一つひとつの出来事が、「また明日も来ようかな」という気持ちにつながります。
だからこそ、初日からすべてを詰め込む必要はありません。
まずは「安心」と「つながり」を取り戻す。そのうえで、教室の空気がほぐれた翌日以降に、子どもたちと学級を見直していきましょう。
夏休み明け初日のチェックリスト
- ü学校に来てくれたことを認める
ü夏休み前との小さな変化を見る
ü人とかかわる活動を少し取り入れる
ü宿題回収では、まず安心感を大切にする
ü学級の見直しは、教室の空気がほぐれた翌日以降に行う
もちろん、初日からすべてを実践する必要はありません。
夏休み前に少し準備をしておき、夏休み明けに思い出し、今の子どもたちに合わせて一緒に見直していく。
先生だけが先に走り出すのではなく、子どもたちと一緒に、
「そろそろ行きますか」
くらいの気持ちで、2学期をスタートしてみてはいかがでしょうか。


先生のプロフィール
ヨシミ 先生
\子どもを導き、先生を支える二刀流教師/
▷教師の悩みを楽しさと仕組みで解決する人
▷直近5年間、学級満足度100%を継続中
▷学校体育研究発表大会の県代表授業者
▷兼業許可を取得し、学級経営講座を運営。
▷学級経営講座『TEACHERS HACK』 lin.ee/pkYx8tc
▷Instagram https://www.instagram.com/443teacher