総合ってコレでいいのかな?から卒業!どの学校でも無理なくできる!総合的な学習の時間
授業づくり
講演/港区赤羽小学校 主幹教諭 松村英治先生
横浜市戸部小学校教諭 研究主任 土田大貴先生
総合的な学習の時間が「調べて発表するだけ」「恒例行事をこなすだけ」になっていませんか?この記事では、児童・生徒の学びを深めるとともに、教師にとって使いやすい単元計画を作成するための考え方を整理します。現場で実践を重ねている松村英治先生と土田大貴先生による、単元計画の具体的な工夫やアイデアを紹介。令和8年度の計画づくりに役立つヒントが必ず見つかります。
※本記事はベネッセが2026年1月18日に実施したウェビナーの内容をダイジェスト記事として編集したものとなっております。
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松村先生の「総合年間計画表」
3つの単元モデル別・土田先生の「総合的な学習の時間実践事例」
「総合的な学習の時間への疑問」に松村先生・土田先生がお答え!Q&A集
総合的な学習の時間ウェビナー アーカイブ動画
総合的な学習の時間、「及第点」から始める実践
総合的な学習の時間(以下、総合)について実態に目を向けると、行事の準備や単発イベント、教師主導や前年踏襲の指導計画といったことに課題が見られます。教科書がない不安や、専門性の不足から、学びを深めることができないケースも少なくありません。こうした状況下では、まずは現実的に「及第点をクリアする総合」を目指しましょう。
そのための必須条件として、「児童の学びの視点」としては、以下の三つだと考えています。
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体験活動がある
(目的なき調べ学習からの脱却)
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実社会に働きかける学習活動がある
(社会の状況を1ミリでも変えようとする)
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効果検証の学習活動
がある(問いを生み出すことで自己満足で終わらない)
例えば地域の方との交流であれば、「地域の方と自分たちの心は本当につながったのか」を検証することで、次の課題の更新へとつながります。「やって終わり」にせず、課題を発展的に積み重ねていくことで、「まとめただけ」や「自己満足」で終わらない学びになるでしょう。
一方で、「教師側の指導計画の視点」としては、以下の三つだと考えています。
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単元の時間数が
20時間以上である -
探究の過程を
3周以上経由する
(図1) -
1サイクルの
「課題」を具体的に
想定している
問いの往復でつくる、1年間の学びの設計
以上を前提として、今回は「単元指導計画」について考えてみましょう。私の勤務する自治体は、全小学校が教育課程特例校となっており、3・4年生は総合を35時間削減し、それを外国語活動35時間に加えて70時間の「国際科」を実施しています。
単元指導計画を立てる際は、縦軸には探究の過程、横軸にはその1サイクル目、2サイクル目…とした表を使っています。(図2)
「二つの課題」を往復させ、学びを深める
単元指導計画の作成においては、「課題の設定」の「課題」を重視し、具体的に想定しておくことが大切だと考えます。今年度の実践で言えば、1学期は「ペットボトルモルックを作って、クラスでモルック大会を開こう!」「どうしたらもっと楽しいモルック大会になるかな?」、2学期に入ると「地域の高齢者の方とモルックで遊ぼう!」「高齢者の方は、モルックを楽しめたのかな?」「高齢者の方とモルックを通して笑顔になろう!」、3学期では「高齢者との交流を通した自分の成長を伝えよう」のように課題を想定しました。また、探究のサイクルを細かく設定することも大切です。1つの学期に1サイクルではなく、1つの学期に複数サイクルを繰り返すイメージをもち、比較的小さな課題を想定するようにします。
1サイクルの課題を想定するときに「明らかにするフェーズの課題(A)」と「働きかけるフェーズの課題(B)」に分けて考えてみましょう。(図3)
クエスチョン型のAはインプットする活動と、レッツ型のBはアウトプットする活動との親和性が高く、この二つを概ね交互に配置することで学びが停滞しません。ここでBが連続し過ぎると、活動が目的化し、学びが深まらずに「這い回る」状態に陥るリスクが高まるため、AとBを行き来するように想定することがおすすめです。
及第点の総合の必須条件として、20時間以上の単元で3サイクル以上ということを述べました。そうなると、「?」の課題と「!」の課題の組み合わせとしては8パターン考えられます。ここでのおすすめは、パターン③の「!→?→!」(レッツ型→クエスチョン型→レッツ型)の組み合わせです。まずやってみて、そこで生まれた疑問を解消し、再び働きかける活動に戻る。このパターンが児童の思考を最も活性化させるように思います。(図4)
仮に年間70時間を1単元で実践するのであれば、年間で3つの小単元、9~10サイクル(9~10個の課題)となるイメージをもてるとよいでしょう。(図5)
またもう一つ大切にしていることがあります。それは、想定した課題に対して、それが解決された際に「児童の意識や認識がどう変わったか」までを想定することです。私の表では、年間3サイクルと言いながらもう少し細かい想定になっています。1つの学期に1つの小単元、1つの小単元に、3つ程度のサイクル、1つのサイクルに1つの課題として計画しています
実践の「落とし穴」と、総合における三つの単元モデル
単元計画におけるよくある失敗を三点挙げてみます。
一つ目は目的のない調べ活動です。「とりあえず調べる」という学習活動は成果につながりにくいため、アンケートなどの実態調査を実施するとよいでしょう。二つ目は、エリアの広がり=学びの深まり、ではないということです。校内で実践してから校外で実践するのであれば、最初から校外で実践を始め、同じターゲットで繰り返し実践する方が学びは深まります。三つ目は、3学期や3月になってようやく実践にたどり着くことです。年度の終わりに実践をすると、それが本当に効果があったかを検証することができず、実践や発表自体が目的化しがちです。メインとなる活動には早め(目途は2学期前半)に入り、繰り返し実践をするとよいでしょう。
最後に、3つの単元モデルを紹介します。
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よさや魅力の発信型
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やるべきことの実践型
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やりたいことの実現型
これらは完全に独立したものではなく、例えば私が今年度に行った、地域の高齢者の方とモルックで交流するという単元は、モルックのよさや楽しさを高齢者の方に発信するという側面もあれば、高齢者の方とのつながりがあまりなかった現状を改善するという側面もあり、さらに、モルック自体が楽しいからそれを様々な人とやりたいという側面もあります。しかし、主としてどのモデルを軸に据えた単元にするかを意識することで、単元のイメージをもちやすくなると考えています。
インタビューした先生
松村 英治先生
インタビューした先生
土田 大貴先生