【先生アンケート】小学生の夏休みの宿題はドリル?デジタル?現役教師が考える“今どきの宿題事情
授業づくり
夏休みの宿題といえば、漢字ドリルや計算ドリル、絵日記、自由研究などが定番です。
一方で、1人1台端末の普及により、AIドリルなどのデジタル教材を活用した宿題を取り入れる学校も増えてきました。
では、現場の先生たちは実際にどのように考えているのでしょうか。
「紙とデジタル、どちらがいいの?」「自由研究は必要?」――そんな疑問を、全国の先生方へのアンケートをもとに紐解いていきます。
この記事でわかること
全国の先生アンケートをもとに、次のような内容をご紹介します。
- 小学生の夏休みの宿題として、先生たちが実際に出している課題
- デジタルの宿題と紙の宿題、それぞれのメリットと課題
- 自由研究や工作、絵日記に対する先生たちの考え
- 現役教師が考える「これからの夏休みの宿題」のあり方
小学生の夏休みの宿題、先生たちは何を出している?学年によって変わる?小学校の夏休みの宿題事情
アンケートでは、漢字ドリルや計算ドリルに加え、
• AIドリル・デジタル教材
• 端末などを活用した課題
• 自由研究
• 工作
• 読書
• 家のお手伝い
•自主学習
• 一行日記
など、多様な宿題が挙げられました。
かつては紙のドリルが中心だった夏休みの宿題ですが、現在は学習の定着だけでなく、体験や探究、家庭での学びまで視野に入れた課題が増えているようです。
また、アンケート結果を見ると、低学年では絵日記や音読など家庭でも取り組みやすい課題、高学年では自主学習やデジタル教材を活用した課題を挙げる先生が多く見られました。
近年は紙の教材とデジタル教材を組み合わせるケースも増えており、子どもたちにどのような学びを経験してほしいかを考えながら宿題を設計している様子がうかがえます。
小学校の先生が夏休みの宿題を出す目的とは
学習習慣の維持や夏ならではの体験づくりも
先生方が宿題を出す目的として多く挙げたのは、
• 学習習慣を維持するため
• 基礎学力の定着
• 主体性を育てるため
• 夏ならではの体験をしてほしいため
• 家庭との連携
• 生活リズム維持
• 2学期につなげるため
でした。
夏休みの宿題というと、「学力の維持・定着」が目的として思い浮かびます。しかし今回のアンケートでは、それだけではないさまざまな目的が挙げられました。
特に印象的だったのは、「夏ならではの体験をしてほしい」という声です。
長期休業だからこそできる経験や、家庭でしかできない学びを大切にしたいという思いは、多くの先生に共通しているのかもしれません。
紙派?デジタル派?先生たちの本音を聞いてみた
今回のアンケートから見えてきたのは、「紙かデジタルか」という単純な二択ではないということでした。
まずはデジタルの宿題に対する先生方の声を見てみましょう。
デジタル派の先生が評価するポイント
アンケートでは、「とてもよい」「どちらかといえばよい」と回答した先生が多く、デジタルの宿題に前向きな声が数多く寄せられました。
例えば、
「管理が簡単にできる」
「丸つけをしなくていいところ。自分に合った勉強ができるところ」
「分析、手軽さ、紙で取り組みにくい児童への手立て、丸つけの負担減」<
「確認が楽になるところ」
といった意見がありました。
また、
「取り組みの様子を教員が効率よく把握しやすい。自動採点などで子どもに即時フィードバックが行える。やろうと思えば、夏休み中にもフィードバックができる」
という声もありました。
さらに、
「『その場』で正誤がわかること! 自動採点機能があるドリルなどでは、解いた直後に丸つけがされます。『間違えたその瞬間』に解き直しができるため、記憶が鮮明なうちに理解が深められます」
という回答からは、デジタルならではの即時性に価値を感じている先生が多いことがわかります。
そのほか、
「AI課題は個別の課題に対応していることがいい。」
「端末が学習し、個別最適な学びを提供してくれる」
といった声もありました。
これらの回答からは、デジタルを単なる効率化のためだけでなく、一人ひとりに合った学びを実現する手段として捉えている先生が多いことがうかがえます。
特にAIドリルについては、「個別最適な学び」というキーワードとともに語られることが多く、従来の一律の宿題とは異なる可能性を感じている先生も少なくないようです。
一方で、デジタルの宿題には課題も
便利さが評価される一方で、デジタルならではの課題も挙げられました。
例えば、
「適当に回答しても終わったことになること」
「やりっぱなしになりやすい、やった気になる、適当に済ませてしまう児童もいる」
という声がありました。
また、
「保護者が管理しづらい」
「やっているかどうか把握しづらい」
という意見も見られます。
デジタル教材の活用が広がる一方で、「やったつもりになりやすい」「学習の過程が見えにくい」といった声も見られました。
実際に活用している先生ほど、「どのように振り返りを行うか」「どう学習状況を把握するか」といった点を意識しているのかもしれません。
紙派の先生はここを重視
一方で、紙の宿題の価値を挙げる先生も多くいました。
例えば、
「持ち運びしやすい」
「保護者が見やすい。取り組んだかどうかわかりやすい」
という声がありました。
また、
「答えを写すことはあるかもしれないが、書くという行動を起こさないと終わらないところ」
という意見も見られました。
先生方の回答で特に目立ったのは、「書く経験」と「学習の見える化」に関する意見でした。
端末活用が進むなかでも、手を動かして考えることや、学習の跡が残ることのよさを改めて実感している先生も多いようです。
結論は「紙かデジタルか」ではなく使い分け
先生方の声を見ていくと、紙とデジタルは対立するものではなく、それぞれ異なる役割を持っていることがわかります。
実際に、
「デジタルとアナログのよさのバランスを取りながら、夏休み(長期休み)ならではの探究的なことをそれぞれやってもらえたらいいなと思っています」
という声も寄せられていました。
アンケート結果を見ていくと、「紙かデジタルか」という二択ではなく、それぞれのよさを目的に応じて使い分けたいという考え方が共通しているように感じられます。
宿題で身につけさせたい力は何か。その目的によって、最適な方法は変わります。
だからこそ、紙とデジタルのどちらかを選ぶのではなく、組み合わせながら活用していくことが、これからの夏休みの宿題のあり方なのかもしれません。
自由研究・工作・絵日記は今も必要?
アンケートでは、「大切だと思う」「どちらかといえば大切」と回答した先生が多数を占めました。
自由研究や工作、絵日記といった課題は、学力の定着だけでは測れない価値があると考える先生が多いようです。
中でも印象的だったのが、次の声です。
「自由研究はしっかりと教師がサポートすれば、保護者と児童のコミュニケーションツールになります。家に長時間いるとどうしてもゲームや動画を見て過ごす時間が増えてしまいます。夏休みならではの関わりとして、親子で自由研究などを楽しんでもらいたいです」
一方で、
「自由研究に関して、困りを抱えている保護者が多いこと」
という現実的な課題も挙げられていました。
自由研究や工作には大きな価値がある一方で、保護者の負担という現実的な課題もあります。
だからこそ、「出す・出さない」という議論だけでなく、どのように取り組みやすくするか、どのように子どもの学びにつなげるかを考えていくことが求められているのかもしれません。
先生たちが考える“今どきの夏休みの宿題”とは
最後に、先生方から寄せられた未来への声を紹介します。
「全員一律の同じ宿題ではなく、個別に自分に合った宿題が出されるようになればいいなと思います。また、宿題というやらされ感満載のものではない、別の形のものに変わればいいなとも思います」
「『得意』や『好きなこと』に出会える、伸ばせるきっかけになる取り組みができたらいいなと思います」
「端末を利用するなら,子どもと担任との双方向のやりとりが充実できたらいいと思います。」
先生方から寄せられた声を見ていると、「紙かデジタルか」という二項対立ではなく、それぞれのよさをどう生かすかを考えていることが伝わってきます。
デジタルには即時フィードバックや個別最適な学習といった強みがあります。一方で、紙には書く経験や学習の過程が見えるというよさがあります。
また、自由研究や工作のような体験型の課題も、夏休みだからこそできる学びとして大切にされていました。
今回のアンケートでは、
• 学習習慣を維持したい
• 夏ならではの体験につなげたい
• 一人ひとりに合った学びを実現したい
• 書く経験も大切にしたい
など、さまざまな思いが寄せられました。
「紙かデジタルか」を選ぶのではなく、子どもたちにどんな力を身につけてほしいのかという目的から宿題を考えること。
今回のアンケートは、そんな“今どきの宿題”のヒントを改めて教えてくれる結果となりました。