運動会づくりのヒントが見つかる!子ども主体でつくる運動会実践2選
学校行事
執筆/北海道旭川市立公立小学校教諭 長田先生
兵庫県南あわじ市立公立小学校 沼田先生
運動会をめぐる環境は、年々変わっています。安全面への配慮、競技内容の制限、練習時間の確保――「できない理由」が先に浮かんでしまうことも少なくありません。この「運動会大自慢!」では、有名校の成功事例や理論ではなく、日々の実践の中で生まれた等身大の工夫を、学校ごとに紹介します!「これなら、うちの学校もできそう!」そんなヒントを、持ち帰ってもらえたらうれしいです。
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運動会「トルネード」進行図
種目のルールから当日の走順まで試行錯誤!子ども主体で作っていく運動会!
与えられたルールを教師の指示の元こなすのではなく、ルールを決めるところから子どもたちで話し合い、「どうすればもっとよくなるか」をみんなで考えていく。作戦会議を重ね、試して、また話し合う。そのプロセスこそが、この学校の運動会のいちばんの見どころです!
●旭川市立公立小学校 長田先生|ハリケーン(学年ブロック共通ルール・難易度アレンジ)
【競技の概要】
・種目名:ハリケーン(台風の目)
・対象学年:中学年ブロック(3・4年生)
・人数:3年生 2チーム/4年生 4チーム
・競技時間:約10分以内
※こちらの競技要領図はフォームへの情報入力でダウンロード可能です。
【競技の流れ】
中学年ブロックで同じ競技を難易度を変えて順番に行います。
・3年生:3人1組でコーンを回って戻ってきたらバトンパス。
・4年生:2人1組でコーンを回るのですが、コーンの間に障害物(段ボールをジャンプする)が登場。
バトンパスにも一工夫。待っている列の後ろまで棒を足の下を通し、後ろまで行ったら、頭の上を通してからバトンパスします!
4年生は3年生の時からルールや難易度が上がっているので、児童の成長を実感できるようにもなっています!
※低学年・高学年のブロックは別種目が設定されていますが、基本学年ブロックごとに同じ競技を難易度を変えて行うことは変わりません。
低学年は旭山動物園に関連する「動物の鳴き声を聞いて看板にタッチ」など、学年に応じた楽しさを重視。高学年は「でかパン競争」を親子で行ったり、二人三脚の要素を入れたりとレベルの高い種目を取り入れています。
【この競技の「ここが工夫ポイント」】
子ども主体の取り組み
昨年の経験をベースにして、今年は、「障害物はどうする?」「段ボールを使う?」といった部分を子どもたち自身が相談して決めています。3年生は先生の指示で走順や基本の動きを固めましたが、4年生はルール作りから話し合い、練習方法や走順の工夫を児童が主体的に考えるようにしています。障害物の段ボールに絵や言葉を書いてオリジナル段ボールにしたり、作戦会議では「どこでジャンプするのか」「どうすればバトンが渡しやすいか」といった意見が自動から自然に発生したりと、チームの連帯感が育ちます。また、作戦会議をしてから練習に臨むことで、練習の質も上がります。
協力しないと次に進めない仕組み
バトンパスの工夫ですが、「協力しないと次に進めない仕組み」を入れている点が特徴です!待っている人もジャンプで協力しないとバトンパスが成立しないため、チームの連携が自然に生まれます。
長田先生からのアドバイス!練習と作戦会議ってどんな感じ?
練習のポイント!
①初めは体育館での練習と、作戦会議を行いました。(2時間)
②グラウンドでの練習では、走順などを話し合って練習を行いました。(2時間)
③ 総練習前からは、お互いのチームの作戦が分からないようにグラウンドでの練習はせず、体育館でチーム練習を行い(1時間)、その後本番です。
作戦会議のポイント!
リーダーは決めず、作戦会議を行いました。普通の競技では足が速い人がアンカーになることが多いですが、このハリケーンはチームの作戦によって勝敗が左右されるため、必ずしも足が速い人が有利になるとは限らず、そこがこの競技の魅力です!ですので誰にでもリーダーとして活躍できるチャンスがあります。そのため、リーダーはあえて作らず作戦会議を行いました。
【運営のポイント】
話し合いの方法(子ども主体)
教師が作ったルールを押し付けず、子どもたちが考えてルール作りをさせることがポイントです。
具体的には「障害物を何にするか」「ルールとコツはどうするか」「バトンパスのときどうすればうまくいくか」といった課題をチームごとに出し合い、試行錯誤する時間を十分にとっています。こうした試行錯誤の時間をたっぷりとることで、子どもたちは前向きに練習に臨むようになり、自然と改善案や工夫が出てきました。
また、チームが4チームある構成のため、それぞれのチームの作戦を見合い、互いのよいところを取り入れて切磋琢磨する姿も見られました。練習を通して上達していく様子は、まさに「4年生だからこそできる方法」です。
先生の関わり方
基本は見守ることに徹します。「練習⇔話し合い」を繰り返すことで、子どもたちが自分たちで試行錯誤し、改善案を実践に移すサイクルが生まれます。
長田先生からのアドバイス!実際の関わり方ってどんな感じ?
チーム戦を取り入れた学級ゲームをしたり、普段の授業の話し合いや発表の中に「作戦会議」の時間を丁寧に作ってあげたりと、運動会につなげるための日々の学校生活の中に、子どもたち自身が考えて決める活動を設けてみてはいかがでしょうか。
運動会をイベントとして終わりにするのではなく、普段の授業や学級づくりから「子どもたちが創意工夫し、楽しむ時間」を意識して取り組むと、運動会での子どもたちの成長も感じやすくなります。
先生のひとこと
「私自身が子供の頃、運動が得意ではなく、「走るのが遅い自分にできることなんかない。」を思い、運動会の練習も辛かった記憶があります。本番だけではなく、練習や話し合いでも活躍のチャンスがある競技を作り、全員が「楽しかった!」と思える時間にしたいと思って考えました。」
振り付けもセリフも演出も!アイデア満載・子ども主体の応援合戦!
6年生が中心となって応援内容を考え、全校生に教え、仕上げていきます。振り付けや掛け声も、すべて子どもたち発案です!
●南あわじ市立公立小学校 沼田先生|子どもが作る応援合戦
【競技の概要】
・種目名:子どもが作る応援合戦
・対象学年:全校
・人数:全校
・競技時間:約10~15分
【応援合戦の流れ】
縦割り班が3色チーム(赤・黄・青)になっていて、6年生が各チームをまとめます。6年生は掛け声を考え、応援団長となって全校に伝えます。チームごとに入場した後、決められた場所で演技のように応援を披露し、最後に競技の成績に合わせて歓声が上がります!
昨年のチーム名と勝利のコール
【この競技の「ここが工夫ポイント」】
話し合いの方法・教え方のポイント
• 6年生が中心となって意見を出し合い、内容を決定します。
• いきなり全校に教えるのではなく、まず5年生に共有してリハーサルし、段階的に下学年に伝えていきます。
• 高学年で「どうすれば下級生に伝わるか」を相談し、実際に伝える場を設定します。
下学年へは、6年生が自分たちで作った動画を見せる、あるいは実演してから一緒に練習するなど、応援団長以外の他の上級生も積極的に声がけにまわり、下級生にも分かりやすい工夫を重ねます。1年生は入学直後で不安を感じることもありますが、高学年が寄り添うことで自然と参加できるようになります。
【運営のポイント】
自分たちで考えたことを伝え、上から下へ教えていく流れを大切にします。
先生の関わり方
基本的に先生は口出しを控え、子どもたちの相談に乗る形で支援します。危険な行為や安全面での判断が必要な場合のみ教師が介入します。あくまで主役は児童で、教師は「支える側」に徹する姿勢が文化として根付いています。
ここまで、2校の運動会自慢を紹介しました!どの学校も規模も環境も違いますが、共通しているのは「子どもが主役」であること、そして「日常の学びをうまく“行事”に結びつけている」ことでした。この記事が、先生方の運動会づくりのヒントになれば幸いです。
インタビューした先生
長田 夢先生