共有から児童のイメージを具体化し、作品の世界を想像する
難解な物語文に挑む!
佐藤先生から一言:
オクリンクプラスを活用し、児童一人ひとりの考えを共有することでイメージを具体化し、子ども達が主体的に作品の世界を想像し、作者作品にこめた思いを考え、友達と伝え合えるようになることをねらいとしました。
活用場面・活用背景
難解な「やまなし」の思いを考え、言語化する力を養う
光村図書6年の『やまなし』は、小学校の国語教材の中でも難解な題材と言われています。国語の授業で、【筆者が伝えたいことは何か?】という問いに対して、手が止まってしまう児童や、実際に思考を言語化するということに苦手意識を持つ児童が多いことを懸念していたので、作品の世界を想像し、作者が作品に込めた思いを考えて、友達と伝え合うことをめざしました。
How to
作品の世界観を多角的に考察し、共有と振り返りを通じて学びを深める探求型学習。
第1時
全員で物語を読み、感想や気づきなどをオクリンクプラスで共有。共有した内容をもとに、思考ツールを用いて話し合いながらクラス全体で単元計画を作成する。単元計画を作成したことで、子どもたちが進んで学びたいと思える授業展開になったと感じている。

第2時
作者に関連する『イーハトーブの夢』を読み、オクリンクプラス上で①作者の生き方 ②作者の作品の特徴を各自でまとめて共有。宮沢賢治に関する資料のリンクをオクリンクプラスのカードに張り付け、より幅広く調べられるようにした。

第3時
物語の5月と12月の情景を絵で表し、写真を撮って「みんなのボード」で共有。「みんなのボード」で共有後、リアクションで相互評価。「言葉からだけで考えるのは難しい。」という反応もしていたが、共有することによりイメージがしやすくなったようだった。

第4時
【クラムボン】の正体を考える。カードに、①生き物②植物③自然のもの④人間⑤その他 の選択肢を用意し、児童は1つ選ぶとともに理由を記入し送信。その後クラス全体で共有。以下の2つの理由から、【クラムボン】の正体を考えることにした。①子ども達がとても気になっている②追及した方が、表現方法や1つ1つの言葉に注目し、文章をより読みこむことにつながると思った。

第5時
5月と12月の様子について、【かに】、【光と水の様子】、【上からきたもの】の3つの視点ごとに色分けしたカードをボードに送り、共同編集をしながら児童とともに整理する。その後、5月と12月の世界観や、賢治が伝えたいことについて考えを共有。オクリンクプラスの背景設定を使い、谷川の底を背景にし、児童が比べる活動に夢中になって取り組むことにつながった。

第6、7時
「なぜ題名が『やまなし』なのか」を考え、「『やまなし』の学習の振り返り」を行う。振り返りのカードでは、「①『やまなし』のみで書く」のほかに、チャレンジレベルとして「②『イーハトーブ』の夢を踏まえて書く」の選択肢を設定しておく。

取り組みの結果
多機能活用で子どもたちの学習が深まった。
ぼんやりとした『やまなし』のイメージが具体化されていき、筆者が伝えたいことの言語化や子どもたち自身の考えや意見のアウトプットができるようになりました。特に毎時間のふりかえりに選択肢をつけ、めあてに対しての子どもたちの学習の理解度を数値化し、集計することで学級全体の理解度を確認しながら学習を進め、理解度に応じて学習の進め方を修正できたことが良かったです。 共有するだけではなく、背景設定、様々な集計機能、思考ツールを併せて活用することにより、学習内容がより深まったと思います。子どもたちに向けたアンケートで、「学習がわかりやすくなった」と100%の回答を得ました。