情報を整理しながら主観・客観的視点で「いじめ」について考える
『卒業文集最後の二行』
野口先生から一言:
班ごとに議論する際の情報の整理の仕方やアウトプットのやり方はそれぞれの個性が出ていて興味深かったです。ほかの班の広場も参照しながら、クラス全体で学び合えていたと思います。
活用場面・活用背景
『卒業文集最後の二行』という作品に沿っていじめの非情さを理解し、差別・偏見を絶対に許さない態度を育てることをねらいとした授業です。ボードを使い分けて登場人物の言動や心情、自分の想いを整理したり、他者参照しながら場面描写について客観的に考えたりできるようにしました。
How to
Step1
事前準備として、教員は授業で投げかけて議論を展開する質問(「楽しい時」「問題点・理由」)とカード、班の数分のタブを作成しておく(「問題点・理由」はセットで考えるとわかりやすいので、画面上ですぐに見分けがつくようにカードの色は赤と青にしておくとよい)。
Step2
授業の導入では、生徒が自分自身のことを考える。「学校生活でどんな時に楽しいと感じるか」を各々がカード上に記入し、「楽しい時」のタブ上に提出。意見が集まったら、生徒たち自身で分類分けしながら並べ替えを行う。
Step3
教科書の本文を読んだら、各生徒はあらかじめ用意された「〈私〉のしたことの問題点を考えよう」「問題だと考えた理由はなんですか」という2種類のカードに記入する。記入が終わった生徒から、「問題点・理由」のタブに2枚を繋げた状態で提出する。
Step4
生徒は、班ごとに分かれて問題について議論する。なぜそうなるのか、どうしたらよいか という2つの観点で考えてみるよう促す。個人で考えたカードを流用したり、新しくカードを作成したり、手書きで追記したり、カードを並べて体系的に考えたりしながら班内で意見を交流させ、まとめていく。
Step5
授業の最後には、作品を読んで感じたことを踏まえ、「これからの自分の生き方を考えよう」と質問が書かれたカードに、100字程度でそれぞれの想いを記入する。記入が終わった生徒から、提出BOXに提出。教員が授業後にフィードバックする。
取り組みの結果
物語を自分事として読み解くだけでなく、他者の意見を知ることで新しい気づきや視点も得られたようでした。授業のねらいである、いじめの非情さと、差別や偏見が許されない理由を一人ひとりがしっかりと考えられた時間になったのではと思います。