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その他

【1/10(金)開催】全校で自由進度学習!マイプラン学習実現の道
~第5回(Season6)北陸エリアミーティング実施レポート~

今年度5回目の北陸エリアコミュニティが1月10日(金)に開催されました!
今回は「今の時代を生き抜く子どもを育てる!~「見通す、実行する、振り返る」AARサイクルによる指導の実践~」と題して、富山県射水市立片口小学校福田慎一郎先生をお招きし、ご講演をいただきました。今回も非常に多くの先生方にご出席いただき、大盛況となりました。


【イベントレポート】
福田先生から片口小学校でお取り組みをされているAARサイクルによるご指導実践について、以下の4点を中心にお話をいただきました。
① なぜ、AARサイクルなのか?
② 実際の実践発表(例:5年理科の「流れる水のはたらき」より)
③ 教師の役割の変容
④ 課題

①なぜ、AARサイクルなのか?
高度経済成長期以降、教育を進めるにあたり、「PDCAサイクル」に基づく指導がなされてきました。いわば、Plan(計画)に大きな重点をおく学習サイクルです。しかし、変化が激しい現代においてこのPを実行している過程で社会が変化してしまい、結果として社会の変化に追いつけないという現状があります。それに代わり、国内の企業で使われていた考え方として「AARサイクル」があります。これは、行動をしながら見通しをもち、行動して振り返り、次の見通しを立てることで、より早く変化に対応ができるようになるサイクル。この考え方を児童へ落とし込めないかと考えたのが今回の出発点だったとのことです。




そういった背景のもと、学校のあるべき姿について全員で考えました。
(1)教育とは、子どもたちや社会の未来の幸せをつくる仕事
(2)自分の人生を豊かにするためには、学習や仕事を自分で楽しく、面白く取り組む
(3)自分のことを調整できる力が大切




上記の学校をつくるため、片口小学校では新しくAARサイクルを取り入れた学習過程を策定されました。




■片口小学校のAARサイクルをとりいれた学習とは…
今回の学習法では、以下のように3つのサイクルを順に回し、学習を進めていきます。ポイントは、児童自身が自己選択・自己決定を連続して行えるような仕組みにしている点です。

フェーズ1「見通す」
(単元学習)試行を伴う活動をとりいれて、そこから問題や課題を見出す。そこで得た問題や課題を子どもたち自身が学習計画に落とし込んでいく。
(毎回の授業)学び方の共有、教科の見方・考え方を児童に伝え、子どもが学習計画をたてる。
フェーズ2「実行する」
(単元学習)フェーズ1で作った学習計画に基づき、学習方法や環境、時間配分、学習形態を自分で調整しながら情報を収集・観察・実験を行う。その後、結論を導き出す。
(毎回の授業)学習計画に基づき、学習方法や環境、時間配分や学習形態を自らが選択し、学習を進めていく。
フェーズ3「振り返る」
(単元学習)単元の終わりにはフェーズ2までに行った学び方について振り返り、次の単元の学習に生かす。
この取り組みを確かなものにするために、授業をつくる前提として先生方が大切にされている観点についてもご紹介をいただきました。
(毎回の授業)授業の中でうまくいったこと・いかなかったこと、次に生かしたいことを振り返る。



(イメージ図)*児童が自ら学びを調整しながら、活動し振り返り、見通しを立てる学習サイクル

②実際の実践発表(例:5年理科の「流れる水のはたらき」より)
片口小学校では、低学年用・中学年用・高学年用と3種類の自己調整学習のフレームが整備されていますが、その中でも今回は高学年に焦点をおいてご発表いただきました。




それぞれ、実際に児童が作成した単元学習表をもとにご説明いただきました。




左記の児童が見出した課題で、右側が単元計画です。右側の白色が学級全体で進めること、青色がチームで探求することに分かれています。学級全体では、教科で求められている資質・能力を育成したり、課題を整理したりします。チームでの探求は、自分たちで考えた学習計画に基づいて進めます。順番やスピードを児童に全て委ねるため、グループにより進捗が大きく異なってきます。




その後、児童が各時間の中でどのように学習を進めていくのかを決めていきます。まず、冒頭の10分間で前時の振り返りと単元計画表に基づき、本時の学習計画を立てます。そのときのポイントとして、決めることは、学習場所、時間配分、誰と学習をするのか。また、学習意欲を継続させるために調整する方法を自らが知ることができるように仕組化をしています。




今回ご紹介いただいた5年生の理科「流れる水のはたらき」という単元では、まず児童が、河口から上流へGoogleマップを利用してそれぞれの様子を確認し、共通点と異なる点を探し、そこから調べたい問題を見出していきました。その後、班で単元計画を作っていきます。単元計画作成後は、教科の見方・考え方を共有し、自分たちの立てた計画を、実行します。





(全体の計画よりも遅れている場合)


次に、情動面も自己調整しながら計画を修正し、学習意欲を継続して取り組めるように休憩なども児童が選択をし、学習を進められるよう仕組化しているとのことです。





③教師の役割の変容
教師の役割として明らかにAARサイクルを用いることで変わっているのは、3つあると福田先生は仰います。まず1つ目は環境を構成することです。児童が自ら学びを進めていけるよう、環境を整える工夫が求められるとのことです。




次に、全体での話し合いの推進と机間巡視です。自己調整方法を子どもたち自らが話し合えるように、効果的な働きかけのしかたを福田先生も日々模索されているとのことでした。




④課題
福田先生が感じておられる課題の一つが、話し合いのタイミングと内容、話し合いの仕方をどのように見極めるか、という点です。これからも試行錯誤を重ねていきたいとのことでした。 



福田先生のご説明の後、参加いただいた先生方からはたくさんの質問を頂き、実りの多い時間となりました。

11月の加賀市の自由進度学習のご発表に続いて、参加者からも質問が止まらない非常に内容の濃い時間となりました。
次回は、今年度最後3月25日(火)14時30分~16時30分「子どもに委ねる学びの根幹」をテーマに金沢とオンラインにてハイブリット開催の予定ですので、ご参加をお待ちしております!
お申し込みはコチラから!




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