小学6年 国語 光村図書「『鳥獣戯画』を読む」「調べた情報の使い方」「日本文化を発信しよう」

「鳥獣戯画」の解説を読み取り、日本文化を発信する実践

授業の狙い
  • 子ども自身で情報収集や課題解決を行う方法を身につける
  • ジグソー活動で、思考力・表現力が向上する授業へ

この先生にご紹介いただきました

新宿区立柏木小学校
高橋蔵匡 先生

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授業のポイント

ムーブノートを利用し、ジグソー学習を通して筆者の表現や構成の工夫を学ぶ実践です。「鳥獣戯画」のような難度の高い題材や作品でも、必要な情報の見つけ方を学ぶことで作品理解を深めることができました。今回は「論の展開」「文末表現の工夫」「絵の示し方」の3つの視点に分かれ、筆者の工夫に迫ります。まずは同じ視点を選んだ人との交流後、異なる視点を選んだ人ともグループを作り交流します。子ども一人ひとりが担当する観点を持ったことでより他者の考えに興味を持ち、自分の考えを見直すこともできました。

この教科や単元を研究授業に選択した理由

10月に行った今回の研究発表を参観された先生方がすぐに実践に取り入れられるよう、11月に計画されている本単元を選択しました。
また、異なる学年の先生方でも研究テーマの「個別最適な学び(個に応じた指導)」について考え、授業改善に取り入れやすくするために、読むことと書くことの複合である本単元を選択しました。

研究授業を行った当時のクラスの様子

自治体における1人1台端末導入期から担任していた子どもたちだったため、子ども一人ひとりの学習状況だけでなく、端末の操作スキル等も概ね把握した状況での授業でした。
学習に対して前向きで主体的な子どもが多く、協力しながらよりよく課題解決に向けて取り組める学級でした。課題としては学習支援を必要とする場面が児童それぞれで異なるため、子どもの実態に応じてつまずく場面や困難を感じる場面をあらかじめ想定して指導や支援を計画する必要がありました。

子どもたちに身につけてほしいと感じていた力

単元の目標としては、
文章全体の構成や筆者の主張を適切に読み取る力を身につけること、
文章と資料を比較し、関連づけながら筆者の意図を捉える力を身につけることをねらいとしています。
また、研究主題との関わりとしては子どもたちが自ら課題を設定し、資料なども用いながらクラスの友だちという多様な他者と関わりながら学ぶ力を身につけてほしいと考えました。

授業時のポイント

ジグソー活動を取り入れ、「学習の個性化」を実現

一斉一律の授業ではなく、全体で目標を共有しつつ、個々が課題解決の方法を決める授業を目指しました。そのため、個別最適な学びの2つの側面のうち「学習の個性化」の手立てとして、社会科や体育科で行っていた「ジグソー活動」を取り入れることは早くから考えていました。自分の考えをもっているからこそほかの子どもたちの考えにも興味・関心をもち、自身の考えを深めることで文章の構成や論の展開の理解にたどりつけたと思います。



タブレット端末の十分な活用で「指導の個別化」を実現

「指導の個別化」の手立てとしては、タブレット端末を十分に活用できるよう、多様な資料を収集し、共有することにしました。各自が教材文や資料から筆者が用いている工夫を読み取り、粘り強く思考する姿が見られました。



ミライシードの役立ちポイント

授業を行った子どもたちとは、ミライシードを1年半一緒に使ってきました。特に国語ではムーブノートを使うことが多く、研究授業当日も、慣れた操作で自分の考えを広場に送り、交流することができました。「広場」で意見を共有しながら進めることで、自分で書き出せない子どもたちもほかの子どもたちの内容を参考にしながら自分の言葉でまとめることができるようになり、思考力・表現力が全体的に向上していると感じます。
今回の授業では、同じ視点を選んだグループと、異なる視点を選んだグループの2段階で交流を行いましたが、ムーブノートを活用してスムーズに交流を進めることができたと思います。また、ムーブノートがあることで、教師側の事前準備の手間が最小限になりました。

研究授業後の振り返り

授業を終えて、子どもたちが想定通りスムーズに活動できた場面、想定とは異なる様相となった場面、子どもの力が想像を超えてきた場面がありました。研究授業を行ったことで、初めて気づけた子どもたちのよさもありました。
1人1台端末の導入により、子どもたちが手に入れられる情報の量が格段に増えたと感じています。また、多様な子どもが在籍する中で、子どもにとっての最適な学び方や必要な情報も一人ひとり異なるため、授業者がそれら全てを網羅的に準備し、管理することは限界を迎えています。そのため、子どもたちが自ら課題解決の方法を選び、自ら必要な情報を集めるといった、自身に最適化した学び方を身につけさせていくことこそが、これからの教師の役割だと感じました。
何度経験しても緊張しますが、研究授業こそが自身の授業改善のために最適な方法だと改めて感じた授業でした。

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