個人思考×協働学習を通して、フローチャートで計算の過程を学ぶ実践
- 計算問題の過程を言語化する中で、個人思考→協働学習→個人思考で考えを深めることができる
- フローチャートを使ってプログラミング的思考力を養うことができる
宇城市立豊野小学校
吉田沙也加 先生
授業のポイント
オクリンクを利用し、わり算の計算の過程を言語化する実践です。フローチャートを使って、2桁のわり算の計算方法を考えます。計算の流れを1から言語化することが難しい子どもたちにも、ヒントカードを渡して単語を並び替えながら流れを作れるようにします。個人×協働の学びを通してフローチャートを作ることで、プログラミング的思考力も高めることを目標としています。
この教科や単元を研究授業に選択した理由
公開授業を行うことになった際に、“提案性のある授業を行いたい”と考え、子どもたちの今後にも活きるプログラミング的思考を養う授業実践に挑戦してみることにしました。
研究授業を行った当時のクラスの様子
全体的に落ち着いているクラスで、一人ひとりが自分の考えや意見をしっかり持つことができています。発表している子どもが黒板の前で、問題を解きながらクラス全員に向かって「ここまでわかる?」と声かけを始めることもありました。理解できている部分は自信を持って発言し、わからないところは難しい、わからない、とためらいなく発言をしてくれます。
子どもたちに身につけてほしいと感じていた力
問題を解く過程を説明できるようになってほしいと感じていました。理由として、全国学力調査では計算過程を尋ねる問題の正答率が低いこと、授業内でも計算過程の文章化に苦戦している子どもが多いことが挙げられます。習い事で学習を先に進めている子どもたちでも、答えにたどり着くまでの過程を尋ねられると答えられない子どもは多いと思います。自分の頭の中で考えて計算した過程を1つずつ言語化し、どうしてそう考えたのかを説明することができるとより深い学びになると思い、フローチャートという学習活動につながりました。
授業時のポイント
計算問題の解き方を考えながら、プログラミング的思考力を養う
わり算の計算方法を「たてる」「かける」「ひく」「おろす」という言葉で考えているうちに、この流れをフローチャートにできそうだと思い、Webサイトで同じような実践がないか探してみました。4年生前半で行う割る数が1桁のわり算の単元ではフローチャートを使って授業をしている事例がありましたが、割る数が2桁になった今回の単元ではなかなか実践事例を見つけられませんでした。割る数が2桁の場合は、計算方法が複雑になりフローチャートに落とし込むことが難しいからだと思います。少し難しい学習活動だったと思いますが割る数が1桁のわり算の時からフローチャートを使って授業を実施したため、今回の授業では慣れもあり子どもたちが前向きに取り組んでくれました。論理的思考力を養うことができるフローチャートを授業に組み込んだおかげで、子どもたちがわり算を解く過程を考えるきっかけを作れたことが、授業の大きなポイントです。
ミライシードの役立ちポイント
計算の流れを言語化する授業を実施する際に、子どもたちが白紙のノートで言葉を考え、過程を考えるのはハードルが高いことを懸念していました。ただ、オクリンクを使うと事前に教師側でカード準備ができるので、キーワードが散りばめられているカードを子どもたちに渡すことができます。算数がニガテな子どもでもキーワードを見ながら、なんとなくこんな順番かな、と計算の過程を考えることに集中できました。
計算の過程を並び替えして考えることも難しい子どもには、ある程度流れができあがっているヒントカードを参考にしてもらいました。今回の授業で重要な「仮の商」が大きくて「ひけない」ことに気づく部分だけ思考するように指導をしました。理解度別に子どもたちが使うカードを分けられるところが、非常に役立っています。
研究授業後の振り返り
授業活動として少し難しいかと心配していましたが、グループ活動も早めに終わって自分で振り返りを行い、フローチャートを使って試しに解いてみる子もいて、思っていた以上に子どもたちが頑張っていました。フローチャートができたからと言って問題が解けるようになったわけではないので、そこまで結び付けていくことが今後の課題ですが、これから学んでいくべきとされているプログラミング学習を別時間で確保することなく、算数の授業に組み込むことができたところが、個人的にも新たな発見でした。
事例で使用しているカードは、共有コードでダウンロードできます
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