学びを“見える化”して社会とつなぐ
——授業チームで取り組む「社会認識を深める」実践

——北海道千歳市立北栄小学校

教育DXストーリー

学びを“見える化”して社会とつなぐ
——授業チームで取り組む「社会認識を深める」実践

北海道千歳市の小学校で5年生を担当する北村先生。千歳市教育振興会小学校社会科研究部会(以下、千社研)の授業チームの一員として、「社会認識を深める学習」をテーマに研究を続けてこられました。今回は、ミライシードのオクリンクプラスを活用した授業実践について、取り組みの背景や授業づくりの工夫、子どもたちの変化、今後の展望までお話を伺いました。

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「社会科の学びを、子ども自身のものにしたい」——実践の背景

――今回の実践に取り組まれた背景を教えてください。

北村先生:
千社研では、「2040年以降の社会を見据え、子どもたちが持続可能な社会の創り手となるために、社会認識をどう深めていくか」を研究テーマにしています。
その中で、授業チームとして課題に感じていたのが、学びをどう評価し、次につなげるかという点でした。
社会科では、事実を調べて理解するところまでは進んでも、「自分にとってどんな意味があるのか」「社会とどうつながるのか」まで深めることが難しい。そこで、ふりかえりを重視した授業づくりが必要だと考えました。


――研究を進められるにあたって、課題はありましたか?

北村先生:
一番大きかったのは、ふりかえりで「何を書かせるか」「何を見取るか」「手法」が先生ごとに異なっていたことです。「今日わかったこと」を中心にノートに書かせる授業や、「自分の考え」を重視してICTを活用する授業、口頭での確認にとどまる授業など、取り組み方はさまざまでした。
個々の工夫は大切ですが、「学びがどう深まったか」「どんな力が育ったか」を見取り、全体で共有するには、共通言語で語りにくいという課題がありました。また、ふりかえりがノートやワークシートで完結してしまうと、単元を越えて学びをつなげることが難しく、積み重なりが見えにくいという問題もありました。


――課題について、どのようにとらえられていたのでしょうか?

北村先生:
このばらつきは、先生一人ひとりが忙しい中で工夫を重ねてきたからこそ生まれた違いだと感じていました。だからこそ、個人任せにせず、無理なく共有できる仕組みが必要だと考えるようになりました。
その解決策として着目したのがICTです。オクリンクプラスを活用すれば、ふりかえりの視点や書き方を一定程度そろえながら記録として蓄積でき、教師も子どもも後から学びを見返すことができます。そうした点が、この課題の解決につながるのではないかと考え、本実践に取り組みました。

単元全体を貫く「ふりかえり」とオクリンクプラスの活用

――具体的には、どのような取り組みをされたのですか?

北村先生:
5年生社会科「未来を作り出す工業生産」という単元で、オクリンクプラスを使って、ふりかえりを蓄積する実践を行いました。調べ学習や意見交流だけで終わらせず、毎時間のふりかえりや単元全体のふりかえりをオクリンクプラス上に残すことで、学びの変化を見える形にしたいと考えました。


――授業の中では、ICTをどのように活用されたのでしょうか?

北村先生:
調べたことのまとめや意見交流、ふりかえりの場面でオクリンクプラスを活用しました。「みんなのボード」や「提出ボックス」を使うことで、友だちと話すだけでなく、考えを視覚的に共有できる点が大きなポイントです。特に、自分の考えを書くことに苦手意識をもっている子にとっては、友だちのカードを参考にしながら、少しずつ書けるようになっていきました。他者の考えを参照することで、子ども一人ひとりが自分の意見を言語化する手がかりになっていたと感じています。


――実際にこの単元では、どのような流れで授業を行いましたか?

北村先生:
導入では、ゲストティーチャーの話をもとに、「これからの工業は何を大切にすべきか」という問いを設定しました。
展開では、授業チームで用意した資料をオクリンクプラスで配信し、地域や北海道の工業生産の未来について観点別に調べ、まとめました。その後、グループで交流し、「これからの工業生産に大切なこと」をカードに整理しました。
まとめでは、カードをもとに集計機能で意見を可視化し、共通点を全体で整理しました。最後に、「わたしは」「ぼくは」を主語に、自分の考えとしてふりかえりを書いています。

ふりかえりの蓄積が生んだ、子どもたちの変化

――「ふりかえり」を大切にした授業づくりを検討されるにあたり、大切にされたことはありますか?

北村先生:
一番大切にしたのは、ふりかえりが「書かせること」自体を目的にしないことです。その時間を振り返るだけでなく、次の学びにつながっているかを常に意識してきました。
そのために意識したのは三つです。一つ目は、視点をそろえることです。「生産者」「消費者」「環境や未来」といった観点を示すことで、子どもが社会を多面的に捉えられるようにしました。
二つ目は、変化が見えることです。毎時間のふりかえりが単発で終わると、自分がどう成長したのか分かりません。オクリンクプラスに蓄積することで、「前と比べて何が変わったか」を意識できるようにしました。
三つ目は、無理なく続けられることです。「いつもの授業」の中に自然に組み込み、継続できる形にしました。ふりかえりは評価のためだけでなく、子どもが自分の学びを意味づける時間です。だからこそ、書いて終わりにせず、次の学びへつなげることを大切にしてきました。

 


――実践を通して、子どもたちにはどんな変化がありましたか?

北村先生:
単元前半は、生産者の努力など一つの視点に偏る傾向がありましたが、学習が進むにつれて、「消費者」「環境」「地域や未来」といった多様な観点でふりかえる記述が増えていきました。また、オクリンクプラスにふりかえりを蓄積することで、「前はこう考えていたが、今はこう考えている」と、自分の変化に気付く姿も見られるようになりました。
教師にとっても、カードとして記録が残ることで、考えの深まりや広がりを具体的に見取ることができます。単元を越えて比較することで、社会認識の変容もより捉えやすくなりました。現在はカルテ機能も活用し、テストだけに頼らない評価の在り方を模索しています。


――校長先生から見て、今回の実践をどのように感じられましたか?

校長先生:
ICTの活用というと、操作の巧みさやツールの使い方に目が向きがちですが、北村先生の授業で強く感じたのは、学級づくりと学びの土台があってこそICTが生きているという点でした。子どもたち一人ひとりが、自分の考えを安心して書き、友だちの考えを受け止めながら深めていく。そうした日々の学びの積み重ねがあるからこそ、オクリンクプラスでの共有やふりかえりが意味のあるものになっているのだと思います。
また、「できないこと」を責めるのではなく、「どうすれば考えられるか」に寄り添う姿勢も印象的でした。これはICTに限らず、学校全体で大切にしたい教育観だと感じています。今回の実践は、そうした土台の上に成り立つ授業であると感じました。

 


――実践の準備や授業づくりで苦労された点はありますか?

北村先生:
正直、教材研究は大変でした。社会科は情報が多く、調べれば調べるほど広がっていきます。だからこそ、「この単元の目標に本当に必要な情報は何か」を何度も立ち止まって考えました。
今回の実践は、私一人の取り組みではなく、千社研の授業チームで進めてきたものです。複数の先生で資料を分担して作成し、それを自治体BOXで共有することで、無理なく準備を進めることができたことは大きな支えでした。チームで授業をつくることで、負担を分散しながら継続的に研究を進めることができたと感じています。


――オクリンクプラスの自治体BOXを活用いただいているんですね。

北村先生:
はい。研究授業で使った資料は、授業後に個人の端末に埋もれてしまいがちですが、自治体BOXに残すことで、次の学年や他の先生も活用できるようになりました。資料や実践が「その場限り」にならなくなった点は大きいと感じています。特に社会科は教材研究に時間がかかる教科だからこそ、資料の蓄積が地域全体の財産になると考えています。


――こうした授業づくりについて、どのようにご覧になっていますか?

教頭先生:
北村先生は、授業案の段階から「子どもに付けたい力」をぶらさずに向き合っていた点が印象的でした。目新しさではなく、ねらいに向かって丁寧に授業を組み立てていたことが、この実践の価値につながっていると感じました。また、授業チームで支え合いながら進める中で、資料づくりや構想の段階から積み重ねてきたことが、授業の質にも表れていたと感じています。

  

千歳市教育委員会 松川様:
北村先生の実践は、ICTを使うこと自体が目的ではなく、子どもたちの学びを深める手段として活用できている点が非常に印象的でした。オクリンクプラスによって考えが可視化され、それがふりかえりとして蓄積されていく流れは、ICTを活用した学びの在り方を具体的に示す実践だと感じています。
こうした取り組みを学校や地域全体に広げていくことで、さらなる学びの質の向上につなげていきたいと考えています。

今後の展望――学びを次につなげる評価へ

――今後、さらに挑戦していきたいことを教えてください。

北村先生:
ふりかえりを単元ごと、教科ごとに蓄積していくことで、子ども一人ひとりの学びの軌跡を、もっと丁寧に見取れるようにしたいと考えています。
ミライシードはあくまで道具ですが、うまく使えば、子どもも教師も学びを言語化しやすくなる。完璧を目指すのではなく、仲間と共有しながら、少しずつ実践を積み重ねていきたいです。

※取材の内容は2026年3月時点の情報です。
※掲載にあたり一部の図版を編集しております。

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