教員の“困りごと”に寄り添い、
学校全体の核となる
ICTツールの活用を推進!
「情報部」がチームで推進した、
子どもが主役になる学びの実現

——マレーシア/ペナン日本人学校

教育DXストーリー

教員の“困りごと”に寄り添い、
学校全体の核となる
ICTツールの活用を推進!
「情報部」がチームで推進した、
子どもが主役になる学びの実現

マレーシアにあるペナン日本人学校は、ICTでオールインワンのツールがないため「ツールが乱立する」という課題を抱えていました。そこで、義見先生をはじめとする情報部のメンバー(小田先生、石田先生、高梨先生)が中心となり、ミライシードの活用を推進。トップダウンで強制するのではなく、先生方の困りごとに寄り添うアプローチで校内DXを実現し、「ミライシードAWARD2025 特別賞」を受賞しました。今回は、ミライシードの活用がもたらした教員と子どもたち双方へのメリットや、チームで進める校内推進のポイントなどについてお話を伺いました。

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子どもと教員の負担を減らす「オールインワン」の必要性

——ミライシードに統一する前は、どのような状況だったのでしょうか?

義見先生:
本校はこれまで、様々なICTツールを、先生方が各々の判断で活用していました。核となる共通のツールがないため、ICT活用の足並みが揃いづらい状態だったんです。

小田先生:
使うツールによって操作や提出の方法が異なるため、子どもたちはツールごとに違う使い方を覚えなければなりませんでした。特に低学年の子どもたちにとっては、学習そのものよりも「操作の仕方」に時間を取られてしまっていたんです。教員側も「これも教えなきゃ、あれも教えなきゃ」という対応に追われ、操作の指導に多くの時間を割かれていました。

石田先生:
本校は在外教育施設のため、教材が入手しづらいという課題がありました。「もっと問題を解きたい」という子どもたちに対して、すぐに対応しきれないというもどかしさがありました。また、急な休校のリスクもあるため、通信環境さえあれば教室と同じような双方向の授業ができる、という環境が必要だったんです。

強制せず、先生方の困り感に寄り添いながらチームで進めるICT推進

——そこでミライシードへのツール統一を図ったのですね。それぞれ自分の指導スタイルを確立されている先生方が多い中、どのように校内推進を進めていったのでしょうか?

義見先生:
最大のポイントは「強制をしない」ことでした。本校の教員は初任者ではなく、全国から選ばれた先生方で構成されており、それぞれが自分の指導スタイルを確立されています。そこに無理に強制をかけると、確実に反発を招いてしまいます。ですから、ICTを先生方の「困り感」を解決する道具として提案しました。例えば、「プリント学習だと紙がかさばるし紛失リスクもあるけれど、クラウド化すればデータが蓄積されて成績評価にも活かせますよ」と、具体的なメリットを伝えていきました。ICTの活用を得意・不得意の二項対立ではなくグラデーションとしてとらえ、活用できる人から巻き込みながら徐々に輪を広げていくことを意識しました。


——なるほど。グラデーションで徐々に輪を広げるうえでポイントは何でしたか?

高梨先生:
義見先生のどんな小さな質問にも快く答えてくれる姿勢でした。私は日本にいた頃はそこまでICTに強くなかったのですが、義見先生のサポートのおかげで「自分も使えるかも」と前向きになれました。そうして私が義見先生に感化され、小田先生や石田先生も含め情報部内で輪が広がりチームで推進する体制ができたんです。

石田先生:
情報部の中でも、義見先生が一人で抱え込まず、ミライシードの機能ごとに担当者を分けるなどして役割を分担しました。また、ICT活用に苦手意識のある先生や「紙派」の先生の意見もしっかりと受け止め、無理にすべてをデジタル化するのではなく、徐々に合意形成を図りながらハイブリッドな運用を目指したのもポイントだったと思います。

小田先生:
夏休みに3回研修を実施して、まずは「1ヶ月集中的に使ってみる期間」を設けたのも効果的でした。この期間だけはみんなで使いましょう、という強制力を持たせた取り組みでしたが、実際に使ってみることで、先生方も「自分の時間を生み出し、子どもたちと向き合う時間や家族との時間を増やせる」というICTの恩恵を実感できたのだと思います。

活用頻度が自然と高まっていった理由

——集中的な利用期間を経て、その後も学校全体で活用頻度が高まっていったそうですね。その要因はどこにあったのでしょうか?

義見先生:
大きく二つあります。一つは「業務の効率化」、もう一つは「子どもの学びの深まり」を先生方が実際に体感できたことです。例えば、ドリルパークやテストパークを使えば、子どもの理解度が一目で分かります。誰がどこでつまずいているか、逆に全員が正解しているところはどこかが瞬時に把握できるので、授業での重点的な指導に直結しました。

小田先生:
「カルテ機能」による教員間の連携も活用を後押ししました。担任以外の教員や管理職でも、カルテを開けば「その子が今どこを頑張っているか」「先週と比べてどう伸びたか」が瞬時に分かります。これによって、学校全体で子どもたちの指導を支え合えるようになりました。

義見先生:
また、授業内で瞬時にみんなの意見を共有できることも大きいです。子どもたちは「いいね」マークやコメント機能にすごくハマっていて、それがさらに学習意欲に繋がっていると感じます。

子どもたちの学習意欲の向上を実感

——ミライシードにツールを統一したことで、子どもたちにはどのような変容が見られましたか?

石田先生:
「方法がひとつ、指導がひとつ」に統一されたことで、子どもたちの学びがすごくシンプルになりました。「この操作だけ覚えればいい」ので、低学年の子でも迷わず学習そのものに没頭できるようになりましたね。

 


高梨先生:
学習意欲も目に見えて高まりました。少し時間ができると、「先生、ドリルパークをやっていいですか?」と自ら進んで問題に取り組む子が増えたんです。ドリルパークは小学1年から中学3年までの問題が揃っているので、自分の学年だけでなく、前の学年に戻って復習したり、先の学年の予習をしたりと、一人ひとりの理解度に合わせた学びが実現できています。本当に楽しんで学習している様子が伝わってきます。

義見先生:
子どもたちや先生方にアンケートを実施した結果、どちらからも教育効果が感じられる、というポジティブな回答結果を得られました。

▼先生のアンケート結果(一部抜粋)


▼子供たちのアンケート結果(一部抜粋)

生徒の自由記述の意見を一部抜粋

——小中一貫校ならではの成果もあったそうですね。具体的にどのような実践があったのでしょうか?

義見先生:
体育の跳び箱の授業が象徴的です。これまでは文部科学省のお手本動画を活用していましたが、ミライシード活用後は、レベルの高い技を行う小学校高学年や中学生の先輩の動画を「オクリンクプラス」で共有するようにしました。

小田先生:
身近な先輩が「最高のお手本」になるんですよね。「あのお兄さん、すごく上手だな」「どこに気をつけて跳んでいるんだろう」と、子どもたちが当事者意識を持って動画を見入るようになりました。

義見先生:
その結果、以前は振り返りが20〜30文字程度だった小学4年生の子が、オクリンクプラスで先輩の動画を見て「あのお兄さんのここがすごい」「自分はここを直したい」と、1時間の授業で600文字もタイピングして振り返りを書けるようになったんです。「最初の自分」と「最後の自分」の動画を比較できることも、自己成長の実感に繋がっています。本校は少人数ですが、ツールを統一しチームで推進したことで、子どもと教員のフィードバックのやり取りが劇的に増え、一人ひとりに寄り添った手厚い指導がより強力なものになったと感じています。

校長先生からのメッセージ:共通の「核」がもたらした教員の結束と、グローバル人材育成への期待

——今回のお取り組みについて、校長先生はどのように感じておられるのでしょうか?

校長先生:
昨年度は派遣職員の大部分が入れ替わった上に校舎移転という大作業も加わり、大きな転機の年でした。各教員が手探りで仕事に取り組む中、義見先生から共通ツールの提案がありました。情報部が何度も研修会を設定し丁寧に進めてくれたおかげで、先生方の活用スキルだけでなく結束も強まったと感じています。教育活動を推進する上で、共通する一つの「核」を形成することができました。

——今後の学校づくりへの期待をお聞かせください。

校長先生:
ミライシードについては、大人よりも子どもたちの方が違和感なく受け入れ、ごく自然に使いこなしています。自ら考えて操作したり学習を進めたりしている姿は、本校が目指しているグローバル人材の育成にも繋がっていくと感じています。本校では、「児童生徒一人ひとりの心に火をつけよう」という組織目標を掲げています。子どもたちの好奇心や意欲を喚起し、自ら「やってみよう」「挑戦しよう」という思いを高めることに重きを置く中で、ミライシードはその活動を推進する一助になっていると実感しています。


【編集後記】

ペナン日本人学校は世界遺産地区の中に位置する日本人学校で、校舎自体も世界遺産に登録されています。文化的に豊かな環境で学べる一方で、教材が満足に入手できないことや急な休校リスクなど、在外教育施設ならではの難しさがあります。そんな中で情報部の先生方を中心としたチームワークがあったからこそ、先生方の活用をグラデーションで広げ、子どもたちが主役になる学びを実現し、また万が一の休校時でもオンラインでつながることで学びを保証できる環境を作ることができたのだと思います。

※取材の内容は2026年6月時点の情報です。
※掲載にあたり一部の図版を編集しております。
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