「自分に必要な学び」をデータで納得して選ぶ
~自己評価とテストの“ズレ”を可視化し、
中3理科の難所を自律的な学習に変える~

——青森県青森市立油川中学校

教育DXストーリー

「自分に必要な学び」をデータで納得して選ぶ
~自己評価とテストの“ズレ”を可視化し、
中3理科の難所を自律的な学習に変える~

「ミライシードAWARD2025」東北地域賞を受賞されたのは、青森県青森市立油川中学校の木村先生です。受験を控えた中学3年生にとって、理科の「イオン」などの難関単元は大きな壁。木村先生は、AIドリルを単に「解かせる」のではなく、生徒自身が「どこをやり直すべきか」を自覚し、納得感を持って学習に向かうためのサイクルを構築されました。校長先生とともに歩んだ、DX推進の軌跡を伺いました。

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「何から始めていいかわからない」生徒を救いたい

——今回の実践を始めたきっかけを教えてください。

木村先生:
私の生徒たちの中には、そもそも「どうやって勉強していいかわからない」「何から始めていいかわからない」という子が少なくありませんでした。AIドリルは個々に合った課題を出してくれますが、その手前の「どの問題をやるべきか」を自分で判断できる力をつけさせたい、という思いが一番にありました。

 


校長先生:
本校では以前、他社のドリルを使っていた時期もありました。しかし、ミライシードを導入してみて驚いたのは、問題の質の高さです。解説が丁寧で、ステップアップの仕方が非常に工夫されていると感じました。

自分の「ふりかえり」と「テストの結果」にある“ズレ”を判断材料に

——具体的に、どのように生徒の「判断」を促したのでしょうか。

木村先生:
授業の終わりに「ふりかえり」を書かせていました。項目は「学びの足跡」と「思考のひろがり」の大きく2つを設けています。学びの足跡では、その授業で学んだ内容を自分の言葉で整理させています。ここでよくいるのが、授業のまとめや板書をそのまま写して「わかったこと」として書く生徒です。これを授業では「レベル1」と呼んでいます。そこからさらに、自分の考えがどう変わったかという「自己の変容」を書ける「レベル2」へと、なんとか引き上げたいと考えて取り組んできました。 一方、「思考のひろがり」では、次の学びへのアクションとして様々な視点から書かせています。その後、単元テストを行い、自分の「ふりかえり(主観)」と「テストの結果(客観)」を照らし合わせます。そこに生じる“ズレ”を可視化し、「じゃあ、どこを優先的に解くべきか」を生徒自身が納得して決められるようにしました。


——生徒たちの反応はいかがでしたか?

木村先生:
「どこをやればいいか」が明確になったことで、学習意欲が高まったと感じています。人から与えられたものではなく、自分で選んで取り組むからこそ、前向きになれる。また、オクリンクプラスを活用して他の人のふりかえりを参照できるので、「あの人はこんな風に書いているんだ」と刺激を受けながら、フットワーク軽く取り組む姿が見られました。

 

※画像は別の単元で使用したときのものです。

不登校傾向の生徒にも届く、多様な「学びの保障」としてのICT

——校長先生から見て、ミライシードが学校全体に与えた影響はいかがでしょうか。

校長先生:
非常に大きいですね。特に本校は「不登校特認校」としての側面もあり、別室で学習している生徒もいます。彼らにとって、文字がびっしり並んだ紙のワークは時に心理的なハードルになります。しかし、ミライシードのようなデジタルツールは情報が整理されており、抵抗感なく取り組める。小学校の範囲まで遡って学習できる点も、「学びの保障」として非常に有効です。また、こうしたツールを使いこなし、学年や教科の垣根を超えて「どう活用すれば子供たちの学力が伸びるか」を議論する機会も増えてきました。

受験勉強の先にある「考える力」を育むために

——今後の展望についてお聞かせください。

木村先生:
来年度からは、五教科で「テストパーク」の活用も検討しています。テストの結果がリアルタイムでわかり、自分の課題が可視化される。そうなれば、生徒も教師もより「対話」に時間を使えるようになります。よく「受験は紙に書くからAIドリルは意味がない」という声も聞かれますが、私はそうは思いません。ツールを使いこなし、自分の考えを整理し、必要な情報を取捨選択する。この実践で養われるのは、受験の先にある「考える力」そのものだと確信しています。

 

校長先生:
ICTは今や、教育に欠かせないツールです。木村先生のような実践をきっかけに、ICTが「苦手な子を助け、得意な子をさらに伸ばす」ための当たり前の環境として、さらに定着させていきたいですね。

【編集後記】

インタビュー中、校長先生が「私はポケベル世代でICTはよちよち歩きですが、若い先生に聞きながら楽しんでいます」と笑顔で語られていたのが印象的でした。管理職の先生が新しいものに抵抗なく「まずはやってみよう」と背中を押す。その土壌があったからこそ、木村先生の「主観と客観のズレに注目する」という鋭い実践が、学校全体の「自律的な学び」へと花開いたのだと感じました。

※取材の内容は2026年3月時点の情報です。
※掲載にあたり一部の図版を編集しております。

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