ZOZOが子どもたちに届けたい
「楽しく働く」という価値観
企業カルチャーが教材に

「働くことの多様な価値」を全国の子どもたちへ。

株式会社ZOZO
ソーシャルフレンドシップ部 李 銀珠さま

小学校高学年向け総合学習「キャリア教育」の教材として、株式会社ZOZOさまとのコラボコンテンツを開発。導入の背景や、企業の理念と子どもたちへの教育への想いについてお話を伺いました。

出前授業から見えた課題と、オンラインで広がる未来

ベネッセ
まず、ZOZOさんの事業や、子どもたちへの取り組みについて教えてください。
李さま
私たちはファッションEC「ZOZOTOWN」やファッションコーディネートアプリ「WEAR by ZOZO」など、ファッションとテクノロジーを掛け合わせたサービスを展開しています。
企業理念として掲げているのが「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」。その実現に向け、サービスの展開だけでなくサステナビリティステートメント「ファッションでつなぐ、サステナブルな未来へ。」に基づく社会貢献活動にも力を入れています。その中でも、2021年にスタートした出前授業を中心とする次世代支援「FUTURE FOR YOU」は、大切な取り組みのひとつです。
企業理念:世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。
ベネッセ
出前授業を続けていく中で、どんな課題が見えてきたのでしょうか。
李さま
私たちは本社屋がある千葉市を中心に活動しています。2019年には千葉市様と包括連携協定を結び、その一環として学校の探究活動を支援してきました。生徒が「理想のまちづくり」を考えたり、実際にイベントに出店したりと、主体的な学びをサポートしています。しかし、対面での授業には人的リソースの 限界があります。全国の子どもたちにこの活動を届けるためには、これまでのやり方だけでは難しい――それが大きな課題でした。
集合写真(李様、篠田様、鹿子様)
ベネッセ
なるほど。そこで今回の企業コラボにつながるんですね。
李さま
はい。私たちはサステナビリティの重点取り組みである「持続可能な地域づくりへの貢献」のKPIとして「2030年までに20歳未満の次世代100万人と『つながり』を持ち、地域の活性化に貢献する」という大きな目標を掲げています。千葉だけでなく、全国の子どもたちに「働くって楽しい」という感覚を届けたい。
そのためにはオンラインという手段が不可欠でしたが、私たちにはオンラインで子どもたちに向けて教育コンテンツを届けるノウハウがなかった。そんな中で、ベネッセさんの企業コラボのお話をいただき、ぜひ一緒に取り組みたいと思いました。

なぜZOZOでキャリア教育なのか

ベネッセ
ファッション企業のZOZOさんとキャリア教育、少し意外な組み合わせだと感じる人もいるかもしれません。
李さま
そうかもしれませんね。でも、私たちのカルチャーの根底には「楽しく働く」という考え方があります。これは、キャリア教育の本質ととても近いと思っています。
働くことは大変なこともありますが、それ以上にワクワクするもの。人生の大半を占める「働く時間」を、自分らしく楽しく過ごせたら、その人の生き方そのものを豊かにすることにつながるはずです。
ベネッセ
なるほど。「楽しく働く」を子どもたちに伝えることが、キャリア教育になるということですね。
ZOZOのカルチャー 楽しく働く
李さま
はい。ZOZOはファッションを取り扱う会社ですが、働く人たちは本当に多様です。物流を支えるスタッフ、ECサイトを開発するエンジニア、ブランドと連携する営業、未来のまちづくりを考えるソーシャル活動の担当者…。同じ会社でも「役割」や「やりがいの感じ方」はまったく違います。だからこそ、「キャリアは一つではない」ということを子どもたちに知ってほしいのです。
私たちの取り組みを通じて、「働くことは自分でつくるもの」「自分なりの楽しいことを見つけられる」と気づいてもらえたら、これほど嬉しいことはありません。
ベネッセ
キャリア教育というと、職業紹介のようになりがちですが、もっと深い価値を届けたいということですね。
李さま
まさにその通りです。私たちは、将来どんな職業に就くかだけでなく、「どんな価値観で生きていくか」を考えるきっかけをつくりたいと考えています。例えば、教材に登場する6人のスタッフも、「何が楽しいか」の答えは一人ひとり違います。ある人はお客様の笑顔のために、ある人は新しい挑戦のために、またある人はチームで一緒にゴールを目指すことにやりがいを感じています。
この多様な価値観こそがリアルな社会だと思いますし、それを知ることが、キャリア教育の大きな意味になるはずです。

「楽しく働く」は人それぞれ

ベネッセ
教材では「実際に働く大人の想い」を聞いて、自分のキャリアについて考えるというものでした。6人のスタッフの方に登場いただきましたが、人選にはどんな意図があったのでしょう?
思い思いに動画を視聴する児童たち。
思い思いに動画を視聴する児童たち。
誰かと一緒に視聴する児童
一人で見る児童もいれば、誰かと一緒に見る児童も。
メモを取りながら自分の意見をまとめる児童。
メモを取りながら自分の意見をまとめ、友達とまたシェアして意見を磨いていく。
李さま
ZOZOの企業カルチャーには「楽しく働く」という言葉がありますが、それに決まった定義はありません。人によって「楽しい」の価値観はまったく違うからです。
だからこそ、職種も経歴も異なる6人に話してもらいました。物流拠点で働く人もいれば、デザイナーや他企業との調整役を担う担当者もいます。それぞれが違う立場で、自分なりの「楽しく働く」を語っています。その多様さに触れることで、子どもたちが「自分にとっての『楽しい』」を考えるきっかけになればと思っています。
授業風景
授業のまとめでは、「自分らしく働く」という正解がない事項について考える素地が養われている
(写真はすべて、札幌市立山鼻小学校)

子どもたちへのメッセージ

ベネッセ
最後に、子どもたちへのメッセージをお願いします。
李さま
働くことは大変なこともありますが、素晴らしいことでもあります。人との出会いや経験を通して、大人になっても成長できるんです。
この教材を通じて、子どもたちには「働くって楽しみだな」と感じてほしいです。そして、自分にとっての「楽しい」をじっくり考えてほしい。まずは学校生活を楽しみながら、その先に広がる未来をワクワクして迎えてほしいです。

編集後記

李さんが繰り返し話してくださったのは、「楽しく働く」は人によって違うということ。その価値観の多様さこそがリアルな社会であり、子どもたちが未来を考えるヒントになるのだと思います。
この教材が、子どもたち一人ひとりの「働くって楽しみ!」を引き出し、「自分にとっての楽しいって何だろう?」を考えるきっかけになりますように。