企業のサステナビリティは、
次世代とともに“問い続ける”ことで
深まる。
三井不動産株式会社
サステナビリティ推進本部 サステナビリティ推進部 竹澤 正浩さま
「街づくり企業として、自然との共生を次世代へ」
サステナビリティを“未来に接続する”という考え方
私たちは、「自然との共生社会の実現」に向けて、自然との共生を重要なテーマに据えています。その象徴が、20年以上続けてきた森林保全活動「“終わらない森”創り」です。森を守ること。そして、森を活かすこと。どちらも、未来につなぐために欠かせないと考えています。
2025年には「街づくりにおける環境との共生宣言 & EARTH for Nature」を掲げ、街づくりの中で自然と人・地域が共生するあり方を改めて見つめ直しました。緑や水、生態系、地域文化。そうしたものを守りながら、資源を循環させ、次世代へとつないでいく。ただ、それを“どう伝えるか”。この問いに対して、ベネッセからの提案は一つのきっかけになりました。
企業の取り組みを、次の世代にどう届けるか。教育という形でつなぐ可能性に、手応えを感じたのです。サステナビリティは、企業の中だけで完結するものではありません。社会と共有しながら、未来へと渡していくものです。その一歩として、小学校での教材展開に取り組むことにしました。
「日常の授業で届ける」―企業の取り組みを社会の学びへ
私たちが大切にしたのは、「一度きりのイベントで終わらせないこと」でした。本当に意味があるのは、日常の中で触れ続けること。だからこそ、授業として届けることにこだわりました。
ミライシードは、そのための仕組みとして非常に相性がよかったと感じています。企業の取り組みを教材として、継続的に子どもたちに届けることができる。今回の授業では、森林資源の循環や木材利用をテーマにしました。さらに、都市と森林、私たちが関わってきた二つの地域をつなぎました。都市にある中央区立城東小学校と、森林地域にある旭川市立永山南小学校。都市では木材を使い、森ではその木を育てる。その関係を、子どもたち自身が感じられるようにしたかったのです。
社員も授業に参加し、子どもたちと同じ目線で考える。教えるのではなく、共に考える場にすることを意識しました。社内でもこの取り組みは、「次世代のために必要なこと」として共感を得やすく、部署を越えて関心が広がりました。
「正解のない問いに向き合う」
子どもたちとともに考えるサステナビリティ
森林について話すとき、「木は切らない方がいい」と考える方は多いと思います。でも、本当にそうでしょうか。実際には、適切に木を伐採し、活用し、再造林することが、森を健全に保つことにつながる場合もあります。だからこそ私は、単純な“正しさ”で判断するのではなく、その背景にある複雑さを理解することが大切だと思っています。
教材では、人工林と天然林の違い、木材利用と森林保全の関係などを扱いました。大人が考える正解を教えるのではなく、「どう考えるか」を問いかける。それが今回の学びの設計です。環境問題には、明確な答えがありません。だからこそ大切なのは、答えを出すことではなく、問い続けること。企業としても、個人としても、同じです。私自身も、この問いに対して答えを持っているわけではありません。ただ、考え続けることには意味がある。そして、その問いを社会と共有することにも価値がある。そう考えています。
編集コラム
公開授業を通じて広がる、企業と学校の新しい学び
授業では、三井不動産グループが長年取り組んできた森林保全活動「“終わらない森”創り」を題材に、森林資源や木材利用、自然との共生について子どもたちが主体的に考える学びが生まれました。参加した児童からは、「木を守ることと使うことの両方が大切だと知った」「自分たちの生活ともつながっていると感じた」といった声が寄せられ、社会課題を自分ごととして捉えるきっかけとなりました。
こうした企業活動と学校教育を結びつける取り組みは、社会的にも注目を集めています。本プロジェクトは、テレビ1社、新聞4社、WEBニュース28媒体で紹介されるなど、多くのメディアが掲載。企業のサステナビリティ活動を次世代の学びと社会との対話につなげる新しい取り組みとして評価されています。